学校法人角川ドワンゴ学園

N高について

佐久間:N高は3年前の2016年に立ちあげました。
開校して3年。この春第1期生が卒業しました。
ネットの学校なので、生徒たちの勉強も先生とのコミュニケーションもネットでおこないます。

江成:私も、高校生の子どもを持つ親としてアンテナが張っていて、N高のことは知っていました。
生徒はクリエーターの方が多いのですか?

佐久間:いいえ。本当にいろいろな生徒さんがいらっしゃいます。
現代の子供達のさまざまなニーズに合った新しい枠組みを作ろうというコンセプトで作りました。
進学校から転入する方やアスリートの方や海外で活躍している方などがN高を受けています。

江成:スケートの紀平梨花さんもN高生ですよね。
まさに多様化の時代に合った新しい教育かなと思います。
1期生が卒業して、何か他の学校との違いを感じられますか?

佐久間: 私たちは高校とは友達を作りに行く場所でもあると捉え、ネットだけでなくリアルな場所で会える環境を整えています。
例えば、幕張メッセでやっている「超会議」というイベントを文化祭という形にして、最初はネットでお友達になった仲間が、リアルな場所で交流しています。
全然喋れなかった子が、実際に会い仲良くなって北海道まで会いにいくために、バイトして友達に会いにいく!ということがありました。
とても変わって、驚きましたね。
また、高校生のうちから本当に自分の好きなことを見つけたり、社会で生きていくための武器を身につけたりする時間が多いのは今の若者にはメリットなのかなと思います。

リモートワークについて

江成:リモートワークでの就労はどういうきっかけで作られたのですか?

佐久間:開校当初から、ネットを主体に運営してきたので、職員の方もリモートでできるのではないかというのがきっかけです。

江成:始められて3ヶ月くらい経ち、だんだん慣れてきた頃ですが、どんな状態ですか?

佐久間:真面目に頑張られる方が多く、誰も辞める事なく楽しくやっていただいています。
みなさん仕事を自発的にしてくださっている印象です。
また、グループチャットの「ママカフェ」と言うリモートワークで働くシングルマザーの方達だけのチャンネルでコミュニケーションが盛り上がっているようです

江成:そうなんですね!リモートワークでは自己管理や孤独感が課題と感じています。
もともとネットの専門でいらっしゃるから、解決する仕組みを入れ込んだというのですか?

佐久間:そうですね、それを構築するのに3年を費やしました。
リモートワークって現実問題失敗することが多く、安易に導入する気はありませんでした。
専属のチームを作りちゃんと成り立つような仕組みを作りました。
私たちは本当に在宅でしか仕事できない方にリモートワークの働き口を提供していきたいなと思っているんです。

江成:今までの在宅勤務は比較的搾取されるもので、どう打破できるのかと考えています。
最初のリモートワークの仕組みを作っている時に一番の課題と感じられていたのはどんなことでしたか?

佐久間:試行錯誤していますが、常にコミュニケーションを取り情報共有できるようにしています。
例えば9時〜18時と時間は決まっていますが、早朝勤務や中抜けなど、申請していただければなるべく融通を利かせています。
その時間にやらなくてもいいことは柔軟に対応して負担を軽減したいと思っています。

江成:素晴らしいですね。
例えば授業参観に行きたい場合、その2時間を欠勤するより夜中の2時間で代わりやると申告すれば許されるという環境は真面目な女性にとってありがたいですね。

佐久間:チャット内で、「病院があるのでこの時間抜けます!」「いってらっしゃい!」というような会話ができる。
風通しの良い環境はすごくいいなと思っています。
上司にちゃんと申請してくれれば、他で補てんしてもらっています。

江成:この仕事がどの様に広がっていくのかは見えることはありますか?

佐久間:子どものことで悩んでいる親御さんの対応をする時に、私が母の気持ちというのを持っていなくて、すごく悩む時があります。シングルマザーの方は学校運営の事務的なサポートが主のお仕事ですが、ゆくゆくは保護者さんやお子さん(生徒)の対応も手伝って欲しいなと個人的には思っています。

移住のお話

江成:うちの会員さんで1人岩手の方が就職しました。
彼女は自然の中で子育てをしたくて、学校の先生を辞めて兵庫から移住をしています。
実際に移住したら想定外のことでうまくいず、そんな中御社のお仕事に挑戦しました。
彼女が得たかった、安定した仕事と自然の中での子育ての両方が叶ったんですよね!自治体からの移住の案件も多く、関心のある方が増えている傍ら、一番ネックなのはお仕事ですよ。
関東の生活費の約7割で暮らせるので、今回岩手で300万の収入を得られることはすごいことなんです!そういうお仕事が広がると、国が進めている移住促進にもなっていく。
東京であくせくするよりは安定したお仕事をしながら地方でのんびり子育てをしてくということが可能になっていくなと感じました。

佐久間:私たちはネットの高校なので、家にWi-Fi環境があれば高校のない地域でも入学できます。
優秀な子が高校に行くことで、親御さんも一緒に本土に行ってしまい、結局ご高齢だけが残り衰退してしまうということが全国で起きている。
若者が流出させないという意味でも、N高は地方創生に一役買っているのかなと思います。

チャレンジ支援と通勤勤務について

江成: 今回採用されたシングルマザーのみなさん教員免許を持っている訳ではないですね?

佐久間:はい。年間15万程度(最大4年)を学校法人が負担するのでスキルアップの一環として教員免許とりませんか?とご提案をしています。

江成:そんなこともしてくれるんですね!

佐久間:チャレンジする環境を整えています。

江成:働きながらもステップアップできますね。

佐久間:そうですね。
また、リモートワークで入ったけれど、N高の通学コースは全国に13キャンパスありますので、通勤を希望されれば働けるようになっています。
リモートワークが当社で成功できれば、他の企業さんも真似してくださる。
成功例を作りたくて、今回こういう取り組みを行いました。

リモートワークの認識

江成:今回うちのキャリアカウンセラーも言っていたのですが、リモートワークというお仕事を女性側が楽な仕事というイメージを持っていることが多く、認識を変える作業に力を注ぎました。
子供の世話のついでに仕事ができるという認識ではできないことを伝えて、それではやらない人もいました。
今回成功例が出れば、片手間ではなくちゃんと働けるという認識も広がりますね。
今回の採用の中で私たちも非常に勉強させていただきました。

佐久間:この間のビデオ会議で、シングルマザーの方のお子さんが後ろで走り回っているのを見て、微笑ましかったですね。

江成:そう言ったことも自然になればいいですね。
子供はうるさいものですし。大人は子供を静かにさせることだけに意識が行ってしまう。
みんなが子供ってこういうものと理解してくれれば仕事に集中できますね。
本当に素晴らしい取り組みです。
今後ともよろしくお願いします。

佐久間:こちらこそお願いします。