当たり前になっている人には、もはやデメリットと感じない

夜中、風が強かった。意外と怖い・・・



【不便より便利の方がいいに決まっている】
移住に携わって10年近く経つ。
10年前は、「誰が何のために移住なんてするのだろう?」と本気で思っていた。

「不便より便利の方がいいに決まっている」
きっと、何も知らない私は、表面に見えることだけを捉え、自分が無知だということすら知らずに、そう信じていたのだろう。

この間、何人もの移住を見てきた。人生を大きく変化させて活き活きしていく人が多数だが、田舎に疲れて直ぐに戻ってしまう人もいた。私自身も移住のイメージが変わっていった。最初は「都会から逃げる」というイメージを持っていたが、今では「自分の居場所を見つける」となった。

また、移住を考える人たちを見てきて、ほとんどの人が今の環境と移住先の環境を比較しようとしてしまうことも知った。「コンビニは近くにありますか?」「仕事の選択肢はどれくらいありますか?」「不登校への対応は?」などなど、今の生活で便利なこと、今の生活で困っていることから、同じ視点で比較しようとしてしまう。

しかし、全く別視点であり、そもそも比較対象にならないのだと思うようになった。

【この子は今の地域では発達障害児だけど、ここでは普通のこどもなのかもしれない】
ツアーに行った方の言葉で印象的だったのは、「この子は今の地域では発達障害児だけど、ここでは普通のこどもなのかもしれない」と。そこで思い出したのが、数年前に移住イベントをした地方の、移住者のコメントで「関東では子どもたち全員発達障害で支援級だったが、ここに来たら全員健常児になりました」と。

その時は一例くらいにしか思わなかったが、最近は本当にそうなるのだろうと思える。

当り前に人が多い中で暮らしていると、人が多いことにどれだけストレスを感じているのかに対して麻痺してしまう。子どもにとったら、自分を見て欲しいが、自分を見てくれる大人は少なく、周りと同じようにしなさいと、出会う大人皆に言われる。これほどのストレスは無いだろうなと。不登校が増えるのも理解できる。

先日のツアーでもうひとつ印象的だったこと。1泊2日だと良いところが目につく。生活はそんなものではないので、しっかりとデメリットも知っておきたいし、誘致側も知ってもらいたいと思っている。

「良いところは分かりましたが、あえてデメリットを言うなら?」とツアー参加者が質問した時に、「デメリットもありますよ、例えば・・・」と言葉に詰まった。一生懸命考えてくれたが言葉が出てこなかった。それを見たツアー参加者が「出てこないものなんですね」と笑った。

デメリットが無いのではなく、当たり前になっている人には、もはやデメリットと感じないと言うこと。
住めば都とはよく言ったものです。