シングルマザー、追い込まれない程度の余裕をどこかで作っていく

女性のための働き方、当たり前を変えていくことも、支援団体の使命だと感じている江成です。


■男性が外で働き、女性が家を守る???■
仕事を切り抜いて作っていく。この必要性は協会設立当初から感じていたし、取り組んできました。微力すぎて大したことはできていないけれど、絶対に必要なことだと感じています。

男性が外で働き、女性が家を守る。この常識の元で女性が働くことが考えられているので、女性は苦しいし、男性は「女は甘えている」と感じる。それぞれが自分視点で物事を見ているから、モラハラもパワハラも感じやすくなってします。

パート職が生れた時代、核家族化が進み、子どもを皆で育てることができなくなり、誰かが子育てを担う必要性が生れた。それが必然的に母親ひとりに集中していく。電化製品が生れていく中で家事労働が簡素化でき、そこで主婦の空いた時間を有効活用する働き方としてパートタイムは画期的だったのではないだろうか。

1954年9月に大丸百貨店が「お嬢様、奥様の3時間の百貨店勤め」という広告を出したようです。これが最初だと言われています。

「通学・ご家庭の余暇を利用して3時間だけ明るく楽しい百貨店で働かれることは如何ですか。このパートタイム制は百貨店では初の試みとして大丸が採用した理想的な勤務方法です。」

言い回しは古いですが、内容は今のパートと同じです。今も67年前と同じですね。5000名の応募があったそうです。画期的であったことは間違いないです。

子どもを育てている人は、シングルマザーでもパートという概念がまだまだあり、キャリアを積むことを後回しにしてしまうことで、年齢と共に苦しい生活にならざる得ない人が多いのです。

■作ってくださった方もシングルマザー■
働き方と共に、家事労働への認識も少し変化してもいいのかなと感じています。昨日は働く母親の家事労働を簡素化するためのひとつの方法として、お弁当イベントを開催しました。

少しのワークなどをみなで楽しみ、最後に手作りのお弁当を家族の人数分×2食分いただきました。私もいただきました。とても美味しかったです。作ってくださった方もシングルマザー。子どもに愛情を持って作ってくれているのを、他のご家庭におすそ分けですね。

「皆さんが有難いって言ってくれるんです」と、調理してくれた方が嬉しそうに話してくれました。家事は得意不得意があると思います。得意で好きな人が作り、それをお金を払って不得意な人や忙しい人が活用する。これは助け合いでもあります。

■追い込まれない程度の余裕をどこかで作っていく■
イベント中にふと思いだしたことがあります。私は保育園の送り迎えだけでも16年してきたので、仕事が終わってからの時間は戦争でした。子どもが大きくなったある日、「今日ごはん食べて帰らない?」と同僚に言われ、「いいね~、食べて帰ろう」と初めて言えた時の感動。もうこの時には40歳くらいだった気がしますが、大人になった気がしました(笑)

だからと言って、戦争のような仕事終わりが嫌な訳でもなく、保育園で子どもたちが「お母さん」って見せてくれる笑顔で幸せを感じ、帰りの「ねぇ聞いて」って言う子どものはしゃぐ声に癒され、おいしそうにご飯を食べる姿に笑顔になり、寝顔を見てホッとできる。

この幸せもありますね。

追い込まれない程度の余裕をどこかで作っていくこと。それをもっとみんなで考えていくことは、女性が働きたいとか働きたくないとかは関係なく、働く時代になった今、取り組むことでしょう。