パートや派遣で長く真面目に働いても、経済的自立はできません

ひとり親コンシェルジュ講座の説明会がスタート。シングルマザー当事者として、シングルマザーが自立できるための支援策を本気で作らなきゃいけないと思っている人がとても多い。また、そのような人が、日本シングルマザー支援協会に辿り着いてくれ、「もうできてるんですね」と共感してくれることを最近とても体感しています。


■本来は全体の2割弱でしかないが、多くの人のイメージでは8割強ぐらいに■
「少し元気なシングルマザーが、まだ元気になりきれていないシングルマザーの手を引こう」

これは設立当初から掲げているコンセプト。シングルマザーの現状はあまり理解されておらず、どちらかと言うと依存体質な人たちみたいなイメージを持たれている。手当や養育費に依存している。稼げない人たち。

このイメージになってしまったのは、2つ原因があると考えています。ひとつは自治体に届くのは、シングルマザーの中でも福祉的支援を望む声であるということ。これが本来は全体の2割弱でしかないが、多くの人のイメージでは8割強ぐらいになっている。

もうひとつが、シングルマザー支援の代名詞になっている悲惨な声。日本には有難いことに生活保護と言う制度があります。食事もとれないという生活は、特にコロナ前では情報さえ届けばあまりありません。何より、食事もとれないほどの生活になっている方の支援に関して、「シングルマザーだから」と付け加えるのではなく、あくまでも生活困窮者支援として更に充実させていけばいいと考えます。シングルマザーの中に生活困窮者は確かに多いですが、それは、発達障害、子育てと仕事の両立の難しさ、女性の社会復帰の課題、高齢化社会、少子化など、多くの課題が集まりやすいからです。しかし「シングルマザー」と括ることで、本質的な課題に焦点が当たらないだけではなく、自立したいシングルマザーの道まで絶たれてしまっているのも事実です。

この結果、自治体の窓口に行っても、「頑張って稼ぎたい」という前向きな相談は聞き入れられず、「そんなに無理したら子どもがかわいそうよ」とパートでいいとか、仕事が見つからないのは仕方ないなどという言葉を掛けられることになります。

■パートや派遣で長く真面目に働いても、経済的自立はできません■
この言葉に疑問を持ち、更に探し続けた人が、日本シングルマザー支援協会に辿り着いてくれることも多いですが、多くの方が窓口で言われたことを受け入れ、言われた通りに行動することになります。

ここは女性全般のことになりますが、パートや派遣で長く真面目に働いても、経済的自立はできません。できないどころか、パートや派遣の期間が長ければ長いほど、経済的自立からはどんどん遠ざかってしまいます。

これはシングルマザーの課題でもありますが、全ての女性が知る必要がある情報です。

このことは先日の国の「女性版骨太の方針」でも言いだしたので、良い方向へと進むことと期待しています。

■できることすらできないにされてしまっている人がいるという事実■
今まで協会で支援してきた方で母子寮に入っていた方は、「そんなところ(当協会)の支援を受けるなら、もう二度と戻ってくるな」と言われた方もいました。その方は今、自立してしっかり働いています。元々母子寮にいる時からしっかり働いているのですが、夜勤は規則の中でできない、パートでいい、という指導の下、稼ぐことだけができていなかっただけでした。

かなり安定の大企業に就職支援した方は、引越しを伴ったこともあり、住まわれていた自治体でも支援を受けていたので、「就職が決まったので引越します」と伝えたところ、誰でも知っている企業に就職が決まったにも関わらず、「そんなの無理だよ、失敗したらどうするの?」と、内定を断るように言われました。今は就職され「一生辞めません」と言っています。生活も安定し、精神も更に安定したようです。

これは批判というより事実であり、しかし1例なので全体がダメということではありません。伝えたいのは、できることすらできないにされてしまっている人がいるという事実です。

上記のような「無理だよ」と支援することが必要になるケースも多々あると思います。私たちも支援していて、思う時はあり、その時は違う方法を考えます。

しかし現状、できるのにできないことになっている人が多いのも事実。もう少し失敗を恐れずにチャレンジさせることができれば、シングルマザーが経済的自立を果たすことは可能になります。また、失敗も経験なので、失敗を恐れるのではなく、失敗も含めてサポートしていく方法にしなければいけないと思い、日本シングルマザー支援協会は、失敗も含めてサポートしています。