シングルマザーの貧困、本当の課題はどこにあるのか
■「仕事選び」を間違えなければ、多くの場合は貧困に陥りにくい■
シングルマザーの貧困は社会課題としてよく取り上げられます。けれども私は、議論の的が少しズレているのではないかと感じています。実際のところ、「仕事選び」を間違えなければ、多くの場合は貧困に陥りにくいのです。
しかしその前段階で「働けない」「正社員は無理」と決めつけてしまうことが、大きな壁となっているように思います。
もちろん、一人ひとりにはさまざまな事情があります。「みんな大丈夫」と一括りに言うつもりはありません。ただ、例えば子どもの発達障害や不登校といった問題は、シングルマザーだけの課題ではなく、社会全体で取り組むべきテーマです。さらに、夫の低所得が原因で結婚生活が困窮し、離婚に至るケースも少なくありません。その場合、養育費を受け取れる確率も下がります。
■シングルマザーの貧困の背景には「子どもの課題」や「夫の低所得」といった要素がある■
一方で、結婚時から妻が正社員として働いている家庭では、離婚後に貧困に陥る可能性は格段に低くなります。特に新卒から同じ会社でキャリアを積んできた女性に、貧困のケースはほとんど見られません。
つまり、シングルマザーの貧困の背景には「子どもの課題」や「夫の低所得」といった要素があり、その結果として離婚が増え、シングルマザーになりやすい構造があるのです。だからこそ、発達障害や不登校への社会的支援、男性の低所得問題の解決、女性が安心して働ける環境整備が必要です。これらを進めることで家庭内不和や離婚を減らすことができ、結果的に子どもの貧困も防ぐことができます。
■世帯主として必要な収入を確保する責任は男女問わずある■
大切なのは、「世帯主として必要な収入を確保する責任は男女問わずある」という視点です。子ども中心の視点も大事ですが、家庭を守るためには、経済をどう築くかを冷静に考える必要があります。男性の育児参加が求められると同時に、女性自身も「どんな仕事を選ぶか」という意識を持つことが、これからの時代には不可欠だと私は考えています。