【第8回】“完璧な自立”を目指す必要なんて、どこにもない




『女性の自立は社会の未来を変える 〜機運醸成の時代に生きる私たちへ〜』

シングルマザー紹介:こどもたちとの笑顔の生活があるのは私が挑戦したから

「自立しなきゃって思うけど、どうしても自信が持てないんです」
そう言って涙ぐむ女性に、私は何度も出会ってきました。どこに向けていいか分からない怒りを抱えている方も。

不安じゃない人なんて、いません。
それでも、自立という言葉を「完璧にこなさなければいけない目標」だと感じてしまうと、その一歩が、ものすごく遠くに感じられてしまうのです。

■事例:家から出るだけで精一杯だった彼女が…■
ある40代のシングルマザーの方。
夫の威圧的な態度に疲れ果て、家を出ることすら頭を抱えてきたこの数年。やっと離婚ができたが、心身ともに疲れ果て、実家に戻り、ほとんど引きこもりのような生活をしていました。「私なんかが仕事なんてできるわけない」「正社員なんて夢のまた夢」と思い込んでいた彼女が、最初にやったことは、「ワタシのミライ相談」を予約することだけ。

そこで「話を聞いてもらえた」ことが、自信の芽になりました。
次は、キャリア・リライフに申し込んでみた。
次は、週2日だけ短時間の事務補助の仕事にチャレンジ。

半年後にはMES 就職プログラムを活用して正社員へ。
「いま、仕事が楽しいって思えてるんです」と笑う彼女がいました。

■小さな一歩は、“自立の一部”です■
このような例は、決して特別ではありません。
自立は、「何かを成し遂げること」ではなく、選べる範囲を広げていく過程なんです。

そして、自立のスタートは、誰にとっても本当に小さなこと。
「説明会に行ってみた」
「講座を1回だけ受けてみた」
「LINEで相談した」

そんな“小さな選択”こそが、自立の流れをつくっていくのです。

■誰かと比べなくていい。あなたのペースでいい■
完璧な母親じゃなくてもいい。
完璧な働き方じゃなくてもいい。
完璧な収入やスキルなんて、そもそも誰も持っていない。

だからこそ、「今の自分にできることを少しやってみる」。
それが、自立のいちばん大切な形です。

自立は、完成させるものではなく、“育てていくもの”なんだと思っています。

次回は、「“誰かに頼ること”と“自立”は、矛盾しない」というテーマで、「助けを求める力」も自立の一部であるという視点からお話ししていきます。