【第9回】自立とは、“自分を大切にする”という行動




『女性の自立は社会の未来を変える 〜機運醸成の時代に生きる私たちへ〜』

シングルマザー紹介:幸せになることに許可を出していい

「今のままでいいのかな…」
心の中にふと湧く、そのモヤモヤ。でも、「何かを変える」ことって、すごく勇気がいりますよね。

だからこそ私は伝えたい。
“自立”は、何かに挑むことじゃなくて、「自分を大切にしよう」と決めることなんです。

■事例:子どもの就学をきっかけに、自分を見直した母■
ある30代の女性。長年、専業主婦として子育てに専念してきました。夫の収入で暮らせていたし、表面上は困っていない。けれど、心のどこかにずっとモヤモヤがありました。

子どもが小学校に入るタイミングで、「自分の人生、このままで終わっていいのかな」と思ったそうです。

最初に始めたのは、週に1回、地元の図書館でパートをすること。時給は高くない。でも、久しぶりに自分の名前で働いたその日、「自分が“人として扱われている”と感じた」と話してくれました。

「私は家庭のために、何かを我慢することが“母親として正解”だと思っていたけれど、そうじゃなくて、“自分を大切にしていいんだ”ってやっと思えたんです」という彼女の言葉が、今も忘れられません。

■自立は「挑戦」ではなく、「気づき」の延長線にある■
“自立”という言葉に気圧されてしまうのは、それが「大きな一歩」と思われているから。
でも、実際はもっと身近なこと。また、時代の流れの中で、必要なことにもなってきました。

自分に問いかける。
「私はどうしたい?」
「何が心地よくて、何が苦しい?」
その問いに向き合うこと自体が、もう自立の始まりなんです。

■自分を軽んじる社会で、自分を大切にするという革命■
これまで日本社会は、特に女性に対して「人のために尽くすことが美徳」「家庭の安定は女性の役割」という“型”を押しつけてきました。

でもその価値観の中で、「私はどうしたい?」という問いが封じられてきたのもまた事実です。
だから、自立とは“自分の人生を生き直す”ことでもあります。
自分に許可を出すこと。
自分の声を、無視しないこと。
それは、静かだけど、確かな社会への一石でもあるのです。
また、子どもたちも、自分の足で前に進む大人を見ることで、「自分は?」を考えるようになります。

次回は、「“誰かに頼ること”と“自立”は、矛盾しない」というテーマで、自立と支援の関係性について深掘りしていきます。