【第11回】女性の自立が進めば、社会はもっと優しく、もっと豊かになる
『女性の自立は社会の未来を変える 〜機運醸成の時代に生きる私たちへ〜』
「女性が自立することで、社会全体が豊かになる」そう聞いても、まだピンとこない方もいるかもしれません。
でも私は、現場でずっと見てきました。
女性の自立は、本人だけでなく、家庭を変え、地域を変え、社会の空気を変えていくということを。
■自立の連鎖が、社会の“空気”を変えていく■
たとえば、ある女性が自分の力で生活の選択肢を持てるようになると、周囲の人の見方も変わります。
「家庭に入っている女性=守られる存在」ではなく、「自分で人生を選択する存在」として認識されるようになっていく。
そうして少しずつ広がっていくのが、共生社会の芽です。
自立した女性が増えれば、“競争”で誰かを押しのけて上に行く社会から、“理解し合って一緒に進む”社会へと、自然に価値観が変わっていくのです。
■「みんなで進む」空気は、人の心も守る■
今の社会は、スピード、成果、勝ち負けに価値が置かれすぎています。
その中で、「自分は何者か」でいなければならないプレッシャーに、多くの人が心をすり減らしている。
でも、女性の自立が進めば、“生き方はひとつじゃない”という価値観が浸透する。
選択肢が尊重される空気が育ち、“今の自分のままでも、ここにいていい”と思える人が増えていく。
それはきっと、メンタル不全になる人を減らす、静かな革命になると私は信じています。
■ “誰かの自立”は、“みんなの安心”につながる■
ある母親が自立して、経済的にも精神的にも安定したとき、その子どもが「自分の未来を考える余裕」を持ち始めた。そんな例を、何度も見てきました。
不安で前にすすめなかったシングルマザーが、サポートによって正社員になり、毎月の収入が安定し、責任のある仕事をすることにより、自信を取り戻し、笑顔が増えてゆく。「ありがとう」を言うことも言われることも増える。そんな変化がたくさん起こるんです。
自立とは、誰か一人が強くなることではなく、社会全体に“安心できる場所”が増えていくことでもあるのです。
次回は、「“共生社会”を支えるのは、女性の声と力かもしれない」というテーマで、さらに社会全体の構造変化と可能性について深掘りしていきます。