【第13回】女性が自立できる社会は、子どもにも高齢者にも、やさしい社会になる
『女性の自立は社会の未来を変える 〜機運醸成の時代に生きる私たちへ〜』
「女性が働きやすい社会をつくる」という言葉は、まだ“女性だけの問題”と捉えられがちです。
でも実は、女性の自立は、子どもにも高齢者にも、そして男性にも、すべての人の暮らしやすさに直結するテーマだと私は考えています。
■子どもたちに届く、“母の選択肢”■
ある女性は、長くパート勤務を続けながら、「今さらキャリアを変えるなんて無理」と思い込んでいました。
でもある日、子どもにこう聞かれたそうです。
「ママは将来、何になりたいの?」
その一言に、彼女ははっとしたと言います。
「私は、今の仕事を“つなぎ”としか思ってなかった。将来の話なんて、ずっと自分には関係ないと思ってたんです」と。
それから彼女は、MES就職プログラムを活用し、思い切って正社員転職にチャレンジ。
半年後、子どもの前で「私は今の仕事、ちゃんと好きって言えるようになったよ」と笑って話してくれました。
母親が“自分の人生に前向きである姿”は、
子どもにとって何よりの安心と希望になります。
■高齢者ケアの担い手としての女性の力■
また、今後ますます深刻化するのが「高齢者ケア」です。
介護保険制度の限界が見え始めている中で、地域の支援人材として女性の力は不可欠です。
でも、その担い手が経済的に不安定だったり、働く余裕がなければ、社会インフラとして機能するはずのケア体制も崩れていきます。
女性が安定して働ける社会は、未来の介護や福祉を支える“静かな準備”でもあるのです。
■女性の自立が「共通の安心」をつくる■
女性が自立できる社会とは、「困ったときに相談できる場所がある」「働き方に選択肢がある」「育児や介護を理由に人生をあきらめなくていい」そんな“あたりまえ”が積み重なった社会です。
そしてそれは、女性だけでなく、子ども、高齢者、男性、すべての人にとって**「安心して生きられる場所」**を広げていくことにつながるのです。
次回は、「社会を変えるのは、誰かじゃない。“気づいた私”から始まる」というテーマで、自立を“誰かの話”ではなく“自分の選択”として受け取る視点をお届けします。