当協会休眠預金事業“リスキリングで自立支援”の実行団体が決定しました

この度は、当協会の休眠預金事業実行団体にご応募いただき、誠にありがとうございました。本事業の公募に対し、19団体からご応募いただき、一次選考で10団体へ、そして最終選考で4団体の採択が決まりました。

受益者のことを考慮したプログラム作成のために、修正を重ね、また最終審査では入念にご準備いただいたプレゼンテーションを通じて、団体様各々の事業に対する熱意を強く感じました。すべての申請書類およびプレゼンテーションについて、審査基準に則り、審査員による厳正な審査を行いましたので、その結果を公表いたします。

採択団体一覧(※五十音順)

  • AKKODiSコンサルティング株式会社
  • 株式会社Shareway
  • 株式会社10.0
  • 株式会社Hayakawa

採択結果につきまして、個別の審査内容をお伝えすることはいたしかねますが、素晴らしいプログラムの数々に、どの団体とも一緒に事業を行いたい気持ちがありながらも、予算上の制約や事業の特性があり、審査基準に基づいて審査委員会で検討を重ね、4団体を選ばせていただきました。

審査にご協力いただいた審査員の皆様(※五十音順)

  • 大野 恵様  リトルフォーチュン株式会社代表取締役
  • 岡部 稔様  シングルマザーサポーター
  • 後藤 宗明様 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事
  • 数原 靖子様 レオス・キャピタルワークス株式会社広報IR部
  • 武田 祥子様 合同会社キャリアジェンヌ代表 

なお、今回の採択にあたっては、以下の点を重視して選定いたしました。

●ガバナンス・コンプライアンス(事業計画書に示す事業を適確かつ公正に実施できるガバナンス・コンプライアンス体制等を備えているか)

●事業の妥当性(社会状況や課題の問題構造の把握が十分に行われており、資金分配団体が設定した課題に対して妥当であるか)

  1. 現場感を持った課題設定・事業計画を策定できているか
  2. 当事者意識を持っている、若しくは持つための方法や問題構造への取組み姿勢が事業計画に盛り込まれているか。
  3. 最終受益者の自立までの道のりが、ストーリーとしてわかりやすくステークホルダーに理解できる事業計画となっているか。

●実行可能性(業務実施体制や計画、予算が適切か)

  1. ゴール設定(就職)に向け、実務に即したプログラム履行及び職務に役立つスキルが習得できるが内容を実施できる体制や計画になっているか。
  2. 資金使途が明確で、事業資金及び管理経費が公益事業として正しい使い方がなされているかどうか。

●継続性(助成終了後の計画(支援期間、出口戦略や工程等)が具体的かつ現実的か)

  1. 事業完了後に自団体が自走できるための計画を、明確且つ現実的に可能とわかるものにできているか。

●先駆性(革新性) (社会の新しい価値の創造、仕組みづくりに寄与するか)

  1. シングルマザーの不安感や恐怖心を払拭するプログラムを、新たな視点で考えられているか。
  2. リスキリングプログラムを通じて社会で活躍する人材を育成するという視点で、シングルマザーの支援を捉えられているか。

●波及効果(事業から得られた学びが組織や地域、分野を超えて社会課題の解決につながることが期待できるか)

  1. 事業終了後、シングルマザー以外の社会課題を持つ人達へのリスキリングプログラム及び伴走支援スキーム転用のイメージや想定ができるアウトカムを考えられているか。

●連携と対話(多様な関係者との協働、事業の準備段階から終了後までの体系的な対話が想定されているか)

  1. シングルマザー支援についての実践的学びに向け、分配団体との協働関係を構築できる体制や準備ができているか。

採択に至らなかった団体様、シングルマザーにリスキリングを提供したいという情熱と、そのためにお時間をかけて綿密なプログラムを立案してくださった努力に深く感謝しております。大変な申請業務を行なっていただいたのに、ご期待に添えず申し訳ありませんでした。ご応募いただきました皆様に、心から敬意を表します。ありがとうございました。

選考プロセスの中で、多くを学ばせていただきました。採択された団体の皆様、これから長いおつきあいになります。どうぞよろしくお願いします。

休眠預金活用事業2023年度
通常枠第2回採択団体詳細一覧

以下、4団体の詳細を掲載
※助成額は実行団体よりご提出いただいた事業計画・資金計画書に基づき算定しています。
申請団体一覧はこちら

団体名 :AKKODiSコンサルティング株式会社

申請事業の名称:
ひとり親向けの独学自走できる自律的なデジタル人材育成〜就労後のケアまでのワンストップ支援と生涯学び合える仲間と繋がるコミュニティデザイン事業

事業概要:

  1. 対象:首都圏の生活困窮リスクを抱えるシングルマザー
  2. 目的:シングルマザーの「真の自立」のため、デジタルスキルを習得し、正社員として就労することを目指すプログラムを実施
  3. デジタルスキル習得を目指す背景:
    • 3-1. 需要と安定性:デジタルスキル時代は既に様々な業界・業種で必要最低限のスキルとされているが、まだまだスキルが備わっている人材の割合は多くないといえます。既にリスキリングプログラムとして、提供をしている講座を受講することで雇用への選択肢増加を目指します。
    • 3-2. 柔軟な働き方:デジタルスキルを持つことでリモートワークやフレックス勤務が可能な職場が多く、柔軟な働き方が可能で、子育てと仕事の両立がしやすい。特にシングルマザーにとって、時間の融通が利くことは大きなメリットとなる。3-3. 安定した収入:デジタルスキルは、キャリアアップやキャリアチェンジのための重要なスキルセットです。これにより、シングルマザーがより高収入の職に就くことができます。
  4. 対応策=事業内容:このような、氷河期世代且つ非正規雇用のシングルマザーにリスキリングを実施することで、経済的及び精神的自立を目指す事業を構築し、様々な特性を持つ団体や自治体・企業との協力にて当該事業による課題解決を導くものである。
    • キャリアデザイン
    • 研修・育成:AKKODiSコンサルティングのリスキリングプログラムを実施
    • コミュニティ醸成:ペアチルアプリを使ってプログラム中も支え合い・学び合いができてかつ就労後も業務の相談がし合えるコミュニティを構築する。
    • 就労支援

選定理由:
受講者同士の共有の場や、スキルアップ後のアデコ様からの求職情報などが準備されている、また、フォロー体制の時期の詳細もありわかりやすい。また、受講生の履修到達目標や就業予定企業数などは、大風呂敷ではない、確実な目標値であるところも良い。(一部抜粋)

助成申請額 :
合計20,642,000円

団体名 :株式会社Shareway

申請事業の名称 :
収入を得ながらスキル習得と実務経験を積み転職を実現する デジタル人材養成プロジェクト

事業概要:

【目的】
生活に困窮しているシングルマザーたちが、精神的・経済的に自立し、豊かな生活を営める

【背景と課題】

  • 母子世帯の貧困:約半数が平均世帯所得の1/3とも言われ、37%が年収200万円未満とも言われる
  • 困窮しているゆえに、スキルアップに時間やお金を使う余裕がない
  • メンタル面での問題を抱えるシングルマザーは多く、モチベーション維持が難しい
  • 彼女たち自身の社会経験の不足と、キャリアプランの曖昧さゆえ、再就職や転職のチャンスが狭まっている

【課題解決】

  • 今後市場価値の高まる、デジタル人材養成プログラムを実施
  • 無償での教育カリキュラム提供と、収入を得ながら実務経験を積めるプログラム提供
  • モチベーション維持のため生活状況の相談やメンタル面を含めたケア
  • キャリアプラン明確化のためのサポートを強化
  • 確実な転職を実現させるためプロのキャリア相談を実施

【概要】
<報酬を得ながら実務経験が積めるスキルアップ環境の提供>
スキル修得した人材は、当社で報酬を得ながら実案件で経験が積める。
4つの側面で受講生をサポート。

  1. <教育>講師・補講担当:「Webマーケティング」「動画編集」「Webデザイン」「ロジカル思考・プレゼン力」のオンライン学習環境を無償提供
  2. <生活相談>メンター:挫折を防ぐため、日本シングルマザー支援協会によるカウンセリングを実施
  3. <目標設定>コーチング:明確なキャリアプランを実現するため、専門スタッフの相談窓口を提供
  4. <転職支援>キャリアコンサルタント:実務経験者として有利な状態で、関連会社である株式会社wannabeによる転職支援

選定理由:
スキルアップ(デジタル実務人材育成や広告Web業界に特化した…など)のターゲットが曖昧でなく明確である。また、マンツーマン支援など、離脱者を未然に防げる体制も良い。なおかつ、実地研修の機会が提供されている点も、高評価できる。(一部抜粋)

助成申請額:
合計27,370,100円

団体名 :株式会社10.0

申請事業の名称 :
シングルマザーに対するリスキリング事業「人生を変えるほどのコレクティブインパクト」

事業概要:
シングルマザーが経済的に自立できるようなリスキリング講座を主にオンライン形式で実施する。
詳細は下記の通り。 

<講座の種類>

  • 営業スキルアップ
  • ICT支援員認定資格取得
  • デジタルマーケティング運用者
  • Webライター
  • ITパスポート取得
  • 社会に出る、就職するにあたりマインドとスタンスのリスキリング

正社員として就職するためには、専門の知識と基礎力が必要。それを習得するために半期のセメスター制による柔軟な講座を実施。シングルマザーが孤立せず講座を続けられるようにするため、コミュニティを形成、リアルイベントなども実施して勉強に向かう際のメンタル面のケアをする。加えて、本人の動機づけが必要なため事前のカウンセリング面談に力を入れ、そのヒアリング内容を起点にその人が受講するプログラムを決めていく。本事業を実現するために、社会・企業・自治体などのステークホルダーと連携する。
                                                                                                                                                                                                            上述の講座をオンライン形式で提供することで、関東各地のシングルマザーに、交通費や通学時間をかけることなく、受講してもらうことができる。また、自宅で子供を見ながら受講することができるので、参加のハードルが低く、高い参加率を維持できる。講師は各業界のトッププロが担う。また、同講座を受講したシングルマザー自身も講師を目指す。他のシングルマザーにスキルを教えていくことで、より多くのシングルマザーに訓練・教育の機会の提供を広げていきたい。これにより、自立支援の連鎖が生まれると考えている。
マインド・スタンスのリスキリングを通じて、自分自身の強みや価値を再認識し、自信を持って社会に出ていくことができるようになる。これにより、就業に対する前向きな姿勢が育まれ、長期的なキャリア形成においても有利な立場を築くことができる。

選定理由:
IT技術だけでなく営業スキルアップ・ICT支援員認定資格取得など、職種の選択肢が広くさまざまな就業ニーズに対応できるのは大きな差別化。 実績や高いスキルを持たない場合でも、まずは低い年収で雇用し、その後企業内で育成していくことに賛同してくれる企業との連携を強化するという独自の出口プランもある。(一部抜粋)

助成申請額:
合計29,254,000円 

団体名 :株式会社Hayakawa

申請事業の名称:
生成AIの活用含むWebライティング・情報活用講座を通じて、シングルマザーの正社員転職を実現する

申請概要:

  1. 対象:首都圏の生活困窮リスクを抱えるシングルマザー
  2. 目的:リスキリングを通じてシングルマザーの精神的・経済的自立を促し、子どもと明るい未来を築くための生活設計を支援する。
  3. 解決すべき現状:現在のシングルマザーの年齢構成は「40~49歳」が最多で50.1%(※)を占めており、氷河期世代とも重なるため正規就労経験の少ない女性が多い。そのため、離婚時に正規就労を目指すことが困難であり、低収入のまま非正規労働を続けているケースが多々見られる。またメンタル(諦め)やスキル不足が問題解決を妨げている。
  4. 対応策=首都圏の生活困窮リスクを抱えるシングルマザーに対して、シングルマザーマインド育成講座(分配団体開発)とリスキリングプログラム(実行団体開発)を実施することで、メンタル面の問題とスキル不足を解消する。最終的には年収300万円を超える正社員転職を実現し、精神的・経済的自立を実現する。
    • リスキリングプログラム:シングルマザー向けWebライティング・情報活用講座(Webライティングスキル習得、生成AI活用、情報活用検定2級取得支援)+講座終了後の履歴書・職務経歴書添削、転職サポート
    • メンタル面での環境整備とマインド醸成:シングルマザーマインド育成講座実施
    • 団体・企業の協力のよる課題解決:アイボール鉛筆株式会社が趣旨に賛同。ライターを目指すシングルマザーの子どもに鉛筆及び色鉛筆を無償提供(書く力を育成)。
    • 手厚いサポート:FPによる無料家計相談、分配団体と協力し講座受講中も継続サポート、就職(転職)後のフォローアップ
  5. 事業の継続:本事業は休眠預金からの支援を受けている間だけ実施するのでは意味がない。支援終了後も事業を継続するため、助成期間中に収支均衡点を見つけ、シングルマザーが無理なく受講できる仕組みを構築する。
    ※令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より

選定理由:
携帯代のスリム化や無駄なサブスクの解約、保険の見直しなどFP技能士による家計相談、自治体の支援策の案内、受講生席確保やPC環境の提供など、今ある課題(不安)の解消対応が現実的。また、休預金助成ありきでない事業継続への取り組み、役員報酬ゼロでも本事業を継続したいという熱意が伝わってきた。(一部抜粋)

助成申請額:
合計28,811,248円