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「家族」って何だろう?新しい家族の形「ステップファミリー」とは/アディーレ法律事務所福岡支店 弁護士 生島有里

はじめに

今回のテーマは「ステップファミリー」です。

事実婚、別居婚、国際婚、同性婚など、一昔前に比べると、夫婦や家族の在り方は多様化しています。

今回は「家族」について、そして最近増えている「ステップファミリー」について、法的に気になるポイントを見ていきましょう。

“法律上” の家族の定義

さて、普段何気なく使っている「家族」という言葉ですが、その定義は簡単なようでとても難しいところです。

「家族」と聞いて、誰を思い浮かべますか?夫婦、親子、兄弟、祖父母、孫など、血縁関係によって結ばれた人をイメージする方が多いかもしれません。

叔父叔母、おいめい、いとこなどは「家族」というよりも「親戚」と表現した方がしっくりくるかもしれませんね。

実は、民法の条文のなかには、一度も「家族」という言葉は登場しません。

代わりに「親族」という言葉が使われています。

そして「親族」とは、ある程度広範囲に規定されており、次のように定められています(民法第725条)。

①6親等内の血族
②配偶者
③3親等内の姻族

たとえば、いとこ(父母の兄弟の子)の孫は①6親等の血族にあたります。

血族や姻族という言葉は、あまり耳慣れないかもしれませんが、血族とは、血の繋がりがある人のことで、両親、祖父母、兄弟、子、孫などがこれにあたります。

他方、姻族とは、配偶者の血族と血族の配偶者のことで、たとえば義理の両親(配偶者の血族)、兄弟や子の配偶者(血族の配偶者)などがこれにあたります。

「ステップファミリー」とは

さて、今回のテーマである「ステップファミリー」ですが、皆さまは「ステップファミリー」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。

シングルマザーやシングルファーザーの方は、一度は聞いたことがあるかもしれませんね。

「ステップファミリー」とは、「Step(継)」と「Family(家族)」から生まれた言葉で、再婚や事実婚によって、血縁関係のない親子がいる家族のことをいいます。

「子連れ再婚」といえばイメージしやすいでしょう。

令和3年の厚生労働省の人口動態統計特殊報告よると、婚姻全体に占める再婚夫婦(夫婦のどちらか一方又は両方が再婚である夫婦)の割合は、婚姻全体の25%以上にも達しており、実に4組に1組は再婚夫婦であるといえます。

昨今、再婚自体は決して珍しいことではありませんね。

また、同統計によると、離婚した夫婦のうち、子どもがいる夫婦の離婚は、離婚全体の56%以上を占めておりますので、ステップファミリーは増えつつある家族の形といえるのではないでしょうか。

では、ステップファミリーの誕生に関連して、具体的に気をつけておきたい点をご説明します。

夫婦の片方に子がある場合で、その相手が初婚の場合と再婚である場合

A(女性、未成年の子Cあり)とB(男性、子なし)が再婚することになりました。

この場合、AとBは婚姻届を提出することで法的に夫婦となります(民法第739条)。

この点は、再婚相手が初婚であっても再婚であっても、子連れ再婚であっても変わりはありません。

しかし、注意したいのが子CとBとの関係です。

AとBが婚姻すれば、Bと子Cも晴れて親子になると誤解している方もいらっしゃるのですが、婚姻届を提出するだけでは、Bと子Cが自動的に親子となることはありません。

法律上の親子となるには、別途、養子縁組の手続をする必要があるのです(民法第798条)。

養子縁組をすることで、養子と養親にも血族(実子)と同一の親族関係が生じます(民法第727条)。

そして、養子縁組により2つの大きな効果が生じます。それは、「相続権」と「扶養義務」の発生です。

1つめに、養子は「縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得」(民法第809条)しますので、子CはBの死亡時にBの財産を相続することができるようになります。

養子縁組をしなければ相続権は発生しません。

なお、普通養子縁組の場合、実親との親子関係が切れることはありませんので、上記の例では、実親Dの死亡時に、子CはDの財産を相続することもできます。

つまり、子Cは養親Bと実親Dの2人を相続することが可能となるのです。

2つめに、養子縁組をすることにより、Bは子Cの親権者として子Cに対する扶養義務を負うことになります。

ただし例外的に、Bは子Cの3親等内の姻族になりますので、家庭裁判所が「特別な事情がある」と認めれば、養子縁組をしていなくても扶養義務を負うこともあります(民法第877条)。

Bは子Cの第一次的な扶養義務者となります。

実親との関係について

実親との関係にも注意が必要です。

養子縁組によって、子の扶養義務は第一次的には養親に発生することとなり、実親の扶養義務は後退しますので、実親から養育費を受け取っているような場合には、養子縁組後に養育費が減額される、あるいは免除される可能性があります。この点は留意が必要でしょう。

また、面会交流が行われているケースも多いかと思いますが、再婚や養子縁組によって面会交流の機会が失われるものではありませんし、面会交流を拒めるようになるわけでもありません。

面会交流には、離婚や再婚による子の孤立、不安、喪失などを和らげる効果もありますから、お子さまのためにできる限り今までと同じやり方で継続することが望ましいと考えます。

夫婦双方に子がある場合

再婚相手にも連れ子がいる場合、また、連れ子が成人している場合にはどうでしょうか。

E(女性、未成年の子Gあり)とF(男性、成年の子Hあり)が婚姻する場合、前述のケースと同様、夫婦関係と親子関係は別ものですから、婚姻だけで親子関係が生じることはありません。

そのため、全員が法律上の親子となるためには、Eは子Hと、Fは子Gとそれぞれ養子縁組を行う必要があります。

また、養子縁組によって、子Gも子HもEとFのそれぞれ相続人となることができますし、実子と養子で相続分に違いはありませんので、子Gと子Hは平等に相続権を有することとなります。

ところで、養子縁組は義務ではありませんので、必ずしも養子縁組をしなければならないものではありません。

成年の子Hが養子縁組を望まない場合もあるでしょう。

このような場合には、たとえばFと未成年の子Gのみが養子縁組を行い、Eと成年の子Hは養子縁組をしない選択も可能です。

ステップファミリーの場合は、単に夫婦のみの婚姻とは異なり、子との関係にも十分に配慮する必要があります。

子にとって親の再婚は非常にデリケートな問題ですから、必ずしも法律上の親子にこだわる必要はありませんが、子の年齢や成長の程度、子の意向等、置かれた状況や環境に応じて、柔軟にご検討されるとよいでしょう。

最後に、養子縁組によって生じた親子関係を解消するには、「離縁」の手続が必要です(民法第729条)。

離婚届を提出しただけで親子関係が切れることはありませんので、この点もご留意頂ければと思います。

最後に

「家族」には多種多様な形があり、決して正解はありません。

血の繋がりがなくても、養子縁組をしていなくても、あなたが「家族」と思い、大切にしたい人があなたの「家族」といえるでしょう。

ただ、これまで見てきたように、一般的にイメージされる「家族」と法律上の「親族」は必ずしも一致しませんから、養子縁組をするかしないか等の結論はさておき、一度はご家族の在り方について検討しておかれると安心です。

再婚後、新たに子が誕生することもあるかもしれません。氏の変更に抵抗を示す子もいるかもしれません。

様々なケースを想定し、あなたとあなたの大切な「家族」の将来を見据えて、事前にパートナーとよく相談されておくと混乱せずに済むのではないでしょうか。

将来に向けてしっかり相談されることが、きっとあなたの「家族」の幸せに繋がっていくことと思います。

アディーレ法律事務所福岡支店 弁護士 生島 有里
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