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はじめに

「令和6年11月1日から新しい道路交通法が施行されます」という言葉をニュース等で聞いたことはありませんか?もしかして「へーそうなんだー」と聞き流してはいませんか?万が一心当たりがありましたら、是非このコラムをお読みください。

今回の法改正は「知らなかった」では済まされません。最悪の場合、これまでの常識なら「たったそれだけのことで?!」と思うようなことでも、逮捕や刑務所にいかなければならないということもあり得るからです。

法律は、正しく知っていれば怖くありません。あなただけでなく、お子様を守るためにも、自転車に乗るとき何をしてはいけないのかをきちんと知って、お子様にも教えてあげられるようにしてください。

2024年11月、「ながらスマホ」「飲酒運転」が厳罰化

今回の法改正において、特に知っておいていただきたいポイントは、「①自転車の乗車中にスマホ等を利用する(いわゆる『ながらスマホ』)の罰則が強化されたこと」「②自転車の『酒気帯び運転』」に罰則がついたこと」の2つです。

なお、モペットに関すること等、これら以外にも改正は複数ありますが、本コラムでは自転車にスポットを当てて説明致します。

「ながらスマホ」の厳罰化

「ながらスマホ」がどういった行為なのか、なんとなく「こういうことだろう」というイメージはお持ちのことと思いますし、そのイメージは概ね正解だと思います。

スマホを手に持ちながら通話したり、SNS利用等でスマホの画面を注視したりすること(スマホホルダー等を利用する場合も含みます)は、全て「ながらスマホ」にあたり得ます。なお、停車時や119番通報をする時などは、これらの行為をしても「ながらスマホ」にはあたりません。

そして法改正のポイントはここからです。今回の法改正によって「ながらスマホ」の罰則が「6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金」に大幅に引き上げられました。ご存じのとおり、「懲役」刑とは刑務所にいかなければいけないということです。

余程悪質でない限り、1度の違反ですぐ刑務所に行きなさい、ということにはならないとは思いますが、もし「ながらスマホ」に心当たりがある方は、刑務所でお子様と離されてしまう危険を冒してでも、その電話やSNSは必要かということをよく考えてみてください。

なお、スマホに気を取られて、交通の危険を生じさせた場合(接触事故を起こす等)は、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。

「酒気帯び運転」の罰則追加

未成年のお子様にはあまり関係が無いかもしれませんが、基準値以上のアルコールを体内に保有する状態で自転車を運転した場合(酩酊に至らない程度にお酒飲んで運転した場合)には、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されることになりました。

この基準値は、アルコール量が「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム」又は「呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」と定められており、ウィドマーク法によれば、概ね「体重50キログラムの方がビールを150ミリリットル程飲んだ」場合に相当します。

当然、体質や体調等によっても、この数値は上下しますので、これぐらいだったら飲んでも大丈夫と考えてはいけませんよ?!これまでもそうでしたが、これからはより一層「飲んだら乗らない」を徹底していく必要がありますね。 また、この他にも、酒気帯び運転をするかもしれない人に自転車を貸したり、お酒を提供したりした場合や、酒気帯び運転をすることを知りながら2人乗りをした場合にも、それぞれ罰則の対象となりますのでご注意ください。

自転車の取り締まりは、この先厳しくなる?!
2026年5月までに「反則金制度」もスタート

これまで、令和6年11月1日の変更点についてご説明してきましたが、実はこれからも自転車利用者には見逃すことができない制度の導入が予定されています。

それは、反則金制度(いわゆる「青切符」)の導入です。これまで自動車等の違反にのみ認められていた反則金制度が、自転車の違反にも適用されることとなります。

反則金制度とは

反則金制度は、道路交通法違反行為のうち、比較的軽微なものについては、行政上の手続きとして、反則金の納付通告をし、違反者が任意に反則金を支払った場合には、刑事手続きにならないというものです。逆に言えば、反則金を支払わなかった場合には刑事手続きとなり得ますので、納付通告を無視し続けた結果、逮捕されるということもあります。

さて、この反則金制度ですが、16歳以上の自転車利用者を対象としてスタートします。対象となる違反行為は、信号無視、一時不停止、通行区分違反等、非常に多岐にわたりますが、「ながらスマホ」の場合、交通の危険を生じさせない場合のみがこの対象となります(交通の危険を生じさせた場合は反則金制度の対象にはなりません)。

反則金制度導入によって何が変わるのか

これまで、自転車の交通違反については、反則金制度がなかったため、違反した場合は軽微なものであっても刑事手続きにしなければなりませんでした。そのため、手続きの負担を考え、軽微な違反は見逃されていたというのが実情ではないでしょうか。

しかし反則金制度が導入されることで、簡単かつ迅速な手続きを行うことができるようになりますので、これまで以上に自転車の交通違反として検挙されるケースが増えることが予想されます。

注意点

さらに自転車に対する反則金制度の導入に際して、振り込め詐欺の手口として利用されることも考えられます。

万が一、心当たりのない手紙等が警察から届いた場合には、焦らず、すぐに警察署に相談するようにしましょう(手紙に記載された電話番号が本当に警察署のものかも注意してください)。

まとめ

ここまで自転車に関するルール変更について、簡単に説明させていただきましたが、自転車が自動車と同じ扱いを受けてきていることがお分かりいただけたと思います。

これらのルール変更は、危険な自転車の運転を防止することを目的としてされたものです。

たかが自転車でも、事故になれば人は怪我をし、最悪の場合には亡くなることさえあります。もちろんルールを守っていても避けられない事故はありますが、あなたやお子様が、加害者にならないためにも、この機会に自転車のルールについて見直してみてはいかがでしょうか。

アディーレ法律事務所大阪本店 弁護士 打越 裕二
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