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はじめに

皆さまは「女性活躍推進法」をご存じでしょうか。正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。

働きたいのに働けない女性や、出産・育児を理由に離職してキャリアを中断せざるを得ない女性は多く、職場での給与額や管理職の人数など男女間格差はいまだに存在します。このように、現在の日本では、「働く」という場面で女性の力が十分に発揮できているとはいえません。

そのような問題を解決すべく、「働くことを希望する女性の労働環境を改善し、活躍を促進しよう」というのが、この法律が制定された背景です。

この法律によって、女性にとってより働きやすい環境になり、「個性と能力を発揮して働きたい女性が輝ける社会」になるのであれば、シングルマザーの方々にとってもプラスになることと思います。ただ、女性従業員それぞれが目指すキャリアを実現するには、いまだ課題が多く見られ、さらなる対策の強化が求められているのが現状です。

今回のコラムでは、「女性活躍推進法」の概要や現状、今後の課題といったことについて簡単にご紹介いたします。

「女性活躍推進法」ってこんな法律

自らの希望により働き、又は働こうとするすべての女性を対象とする「女性活躍推進法」。その概要は下記のとおりです。

2-1.基本原則

  • 女性に対して採用・昇進の機会を積極的に提供すること
  • 女性が仕事と家庭を両立するために必要な環境を整備すること
  • 女性の仕事と家庭の両立について、本人の意思を尊重すること

2-2.企業の実施義務

2-1.の基本原則にもとづき、下記の取組みが常時雇用の労働者数101人以上の企業に義務づけられています(100人以下の企業については努力義務)。

  1. 自社の女性の活躍に関する状況の把握と課題の分析
  2. 1をもとにした一般事業主行動計画の策定と社内周知、および外部への公表
  3. 労働局への一般事業主行動計画の届出
  4. 行動計画の取組みの実施・定期的な効果測定(PDCAサイクルの確立)

法律で、「一般事業主行動計画」に何を盛り込んで策定するかは、細かく決められています。

具体的には、1を考慮して、計画期間、数値目標、取組内容、取り組みの実施時期を踏まえたうえで、問題を解決すべく行動計画を策定します。

国が「採用における男女差別をなくしましょう」「女性が出産・育児でキャリアを中断せずに済む道を作りましょう」などと企業に呼びかけても、その効果は限定的です。

そのため、法律で、一定の規模の企業に対して、下記の3つの義務を課しました。

  1. 自社で女性が活躍するために問題はないのかを分析させる義務
  2. 1に対して問題を解決する計画を策定する義務
  3. 計画に沿って問題解決に取り組む義務

さらに、内部で行われているだけだと監視の目が届かないため、一般事業主行動計画や、女性の活躍に関する情報(採用労働者のうち女性労働者の割合など)は、公表する義務もあります。多くの企業は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」で公表していますので、一度ご自身が働いている企業や、働こうとする企業について確認してみてはいかがでしょうか。

なお、この取組みは、一度実施して終了というのではなく、効果測定の数値を取組みや計画に反映し、繰り返し 1~4を行っていくことが企業に求められています。

参考:女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!|厚生労働省

2-3.主な法改正の内容

2015年6月に成立した女性活躍推進法。

その後、さらに女性の活躍を推進するために、2019年に改正されました。主な法改正との内容を説明します。

2020年6月施行|プラチナえるぼし認定制度創設

女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主は、申請により「えるぼし」として認定されていましたが、えるぼし認定よりも水準の高い「プラチナえるぼし」認定を創設しました。

2025年1月末日時点で、プラチナえるぼし認定企業は全国で72あります。思ったより少ないと思われる人も多いかもしれませんが、制度開始後は順調に増加しています。今後も増えてほしいですね。

参考:女性活躍推進法への取組状況(一般事業主行動計画策定届出・「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定状況)|厚生労働省

2022年4月|対象企業の拡大

一般事業主行動計画の策定・公表・届出と、女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用の労働者数301人以上の企業から、101人以上の企業へと拡大されました。

女性活躍推進は企業にもメリットあり

女性活躍推進法で課せられた企業に対する義務は、女性を採用したい企業にとっては格好のチャンスでもあります。

積極的に女性活躍に取り組んで実績を残し、厚生労働省のサイトで公表すれば、「私もこの企業で働きたい」と思う女性は多くなるでしょう。
結果として、企業は採用のコストをあまりかけず、やる気と能力のある女性を採用することができます。また女性が働きやすい職場環境を整えていることから、長期間働いてもらえることを期待できます。

また、投資判断において、半数以上の投資家が女性活躍情報を活用しています。女性の活躍を推進しているかどうかが、企業の業績に影響があると考えられているのです。
女性活躍を推進することは、企業にとって資金調達や企業価値の上昇につながるでしょう。

参考:女性活躍に関する基礎データ|内閣府男女共同参画局

一定の効果はありつつも課題も多い

女性活躍推進の施策により、女性の活躍は徐々に進みつつあります。しかし、女性の正規雇用率や管理職の割合、男女間の賃金格差など様々な面で、いまだ課題が存在しています。

また、女性活躍の状況が全体的に上向いていたとしても、国際的にみればまだまだ状況は追いついていません。

例えば、管理職に占める女性の割合は、諸外国ではおおむね30%となっていますが、日本は13.2%と低いです(2021年)。また、役員割合も上昇していますが、フランス45.3%、イタリア38.8%など諸外国と比べると、日本は12.6%と低いです(2021年)。

参考:『女性活躍に関する調査』報告書|厚生労働省

参考:女性活躍に関する基礎データ|内閣府男女共同参画局

「女性活躍推進法」は、期限付きの法律(時限法)として成立しましたが、このような状況に「まだ役割を終えた状況とは言えない」として、10年間延長されました。

まとめ

様々な背景をもつ女性が働きやすい社会を作ることは、女性個人の活躍にとどまらず、企業にも様々なメリットがあります。

さらに、子育てしながら働くことができる環境が整い、子育てと仕事が両立できるようになれば、少子化の改善にもつながるでしょう。

加えて、働きたいのに働けていない女性が仕事で活躍することができれば、日本のGDP(国内総生産)の向上にも寄与するといわれています。

いいこと尽くしですね。今後もさらに女性が活躍できる環境整備は進んでいくと考えられます。

働いている方は、子育てしながら長く働くためにも、企業にある時短勤務制度など、利用できる制度の利用を検討しましょう。

これから働きたい、転職したいと考えている方は、「女性の活躍推進企業データベース」で、企業について一度調べてみてはいかがでしょうか。

アディーレ法律事務所大宮支店 弁護士 川原 朋子
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