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はじめに
ご近所さんやママ友、職場など、どんな場面でも大切になってくるのが“人付き合い”。
とはいえ、良好な人間関係を保ち続けるのも、そう簡単なことではありません。
もし嫌な思いをしてモヤモヤすることがあっても、子どもや仕事のことなどを考えると、「自分が我慢すれば済む・・・」と思う人もいらっしゃるでしょう。
だからといって、なかには我慢できる範疇を超える場面もあるはずです。
そこで今回は、人付き合いで嫌な思いをしたとき、「どこまでいったら法律違反になるの?」という点について解説させていただきます。
もし似たような状況にある方がいらっしゃれば、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
子どもの騒音について
子どもを育てていると、子どもが泣いたり走り回ったりして、どうしても大きな音を出してしまいがち。その騒音のせいで、ご近所さんとトラブルにならないか、気になる方もおられると思います。
では、法律上、「子どもの騒音」などの生活音はどこまで許されるのでしょうか?
この点、裁判例では「受忍限度」という考えがとられています。
人間生活していく上では、ある程度生活音が生じるのは仕方がないので、「受忍限度」の範囲内であれば違法とはいえない、「受忍限度」を超えた場合に違法とするというものです。
たとえば、マンションの階上の部屋からの子どもの騒音に対し、階下の部屋の住民が慰謝料を請求した事例があります。
その事例では、裁判所は「子供はその成長の過程でどうしても兄弟喧嘩をしたり、あるいは飛びはねたりかけずり回ったりし、ときには大きな声を出したりするものであることを思い、ある程度のことは大目にみてやることが望まれる」と判断しています。
そうして、この事例では「受忍限度」の範囲内として、慰謝料請求を認めませんでした。
一方で、子どもが毎日深夜にマンションの室内で飛び跳ね走り回るなどして騒音を発生させ、階下の部屋の住民に精神障害を生じさせた事例では、「受忍限度」を超えたものとして、慰謝料請求を認めています。
したがって、裁判例をもとに考えてみると、「受忍限度」を超えるかどうかは、主に以下の5つの点を考慮して判断されるといえます。
- 時間帯(昼間なのか深夜なのか)
- 頻度(毎日継続して生じていたか)
- 騒音の客観的な大きさ(何デシベルなのか)
- 騒音を防ぐ手段はあったのか(子どものしつけ、子どもの年齢、マットを敷く)
- 受けた被害の大きさ(健康被害が生じたか)
ですので、通常子どもを育てるのに生じる騒音については法律上も許されますが、一定限度を超えると違法となります。
とはいえ、生活音を不快と感じるかどうかは、個人的な主観も大きいものですので、近所付き合いなどで人間関係を良好に保っていたほうがよいのは間違いないでしょう。
ママ友同士の付き合いで
子どもが成長するにつれて、ママ友同士の交流も増えてくると思います。
同じ喜びや悩みを共有できる一方で、関係性がうまくいかないと、かえってストレスの種になることも…。
たとえば、母子家庭を理由に、(直接的ではないにせよ)嫌な言い方をされたり、無駄な気を遣われたりして、モヤモヤしてしまうことがありませんか?
ママ友同士だと、子どもへの影響も考えなければならないため、我慢する方も多いかもしれません。
しかし、「嫌な言い方をされる」、「無駄な気を使われたりする」といった行為だけでは、残念ながら法律違反になることはありません。
ただし、あまりにも悪質な場合は別です。たとえば、ママ友同士で集まったとき、みんなの前で悪口を言われたり、インターネット上など第三者も閲覧できるような状況で誹謗中傷をされたりした場合には、侮辱罪や名誉毀損罪にあたる可能性があります。場合によっては、損害賠償請求をすることもできるでしょう。
職場で
お子さんと楽しい生活を送るために、避けては通れないのがお金の問題。
安定して収入を得るためにも、気持ちよく働き続けたいところですが、そこで重要になってくるのがやっぱり人間関係ですよね。
もちろん、理解のある方たちも大勢いらっしゃるでしょうが、なかには配慮の足りない、ちょっと困った人たちもいるかもしれません。
たとえば、何の事実も無いに、「○○さんは、母子家庭だから贔屓されている」などの陰口を言われた場合も考えてみましょう。
この場合、陰口が不特定または多数の人に対して言われていたのであれば、侮辱罪、名誉棄損罪にあたる可能性があります。
逆に気を遣われすぎて、「○○さんは母子家庭だから、負担になるような重要な仕事は任せない」、「会議には出席させない」などの対応をされることがあった場合はどうでしょうか。
原則として、従業員にどのような仕事を任せるか、という点は使用者の裁量になります。 ただし、以下の3点に該当するような場合は、法律違反となる可能性があります。
- 「業務上の必要性」がない場合
- 不当な動機・目的をもってなされた場合
- 労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合
ご自身が、上記の状況にあてはまるようであれば、社内の相談窓口や信頼できる上司・同僚に相談してみるのが良いかもしれません。社内では解決できないと感じた場合は、弁護士などの専門家に話を聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ
大切なお子さんを安心して育てていくうえでも、人付き合いは非常に大切です。しかし、何でも我慢をして、自分を犠牲にしすぎる必要はまったくありません。
ご説明したように、嫌な思いをしたからといって、法律違反になるケースは稀ですが、あまりにも悪質な場合には声を上げるべきです。
ただ、法律を持ち出すような事態になる前に、まずは周りの人とのコミュニケーションを日ごろから大切にするべきでしょう。
いつも嫌なことを言ってくるあの人も、実はあなたの知らない事情や誤解があるのかもしれません。ただ我慢をするだけでなく、時間を取ってきちんと話をしてみるなど、良好な関係が築けるようにちょっとだけがんばってみるのも良いと思います。
アディーレ法律事務所池袋本店 弁護士 兒島 克彦
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