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はじめに

養育費を受け取っている(または、請求中だった)元配偶者が、ある日突然亡くなった…。「今後の養育費はどうなるの?」「子どもはどうなるの?」といった不安に襲われることと思います。

元配偶者の死亡により、法的な関係は大きく変わります。「養育費の請求権」は原則として消滅しますが、同時に、あなたの子どもには「相続人」としての権利が発生します。

ただし、プラスの財産だけでなく、マイナスの「借金」も相続してしまうリスクも。

本コラムでは、親権者として知っておくべき注意点を弁護士が解説します。

「養育費」の請求権は、原則「消滅」する

まず、もっとも気がかりな「今後の養育費」についてです。 法的な結論から申し上げますと、元配偶者が死亡した場合、将来発生するはずだった養育費の支払義務は、原則として「消滅」します。

養育費は「一代限り」の義務

養育費の支払義務は、法律上「扶養義務」に基づくものとされており、これは「その人だからこそ負う義務」(一身専属的な義務)と考えられています。

そのため、義務を負っていた本人が亡くなった以上、その義務自体も消滅してしまうのです。

元配偶者の「相続人(再婚相手など)」に請求できるか?

「亡くなった元配偶者の代わりに、その再婚相手や親兄弟が養育費を払うべきだ」と思われるかもしれませんが、法律上、養育費の支払義務は相続の対象となりません。

したがって、元配偶者の相続人に対し、将来の養育費を請求することは原則としてできません。

例外:既に「未払い」だった養育費

死亡時点ですでに支払期日が過ぎていた「過去の未払い分」は例外です。

この未払い分は単なる「金銭債務」として扱われ、亡くなった元配偶者の「マイナスの財産」として相続の対象となります。 したがって、ほかの相続人(元配偶者の再婚相手など)に対し、その相続分に応じた額を請求できる可能性があります。

ただし、注意点もあります。 あなたの子どもは、未払い養育費を受け取る「債権者」であると同時に、法定相続人として、亡くなった元配偶者が負っていた未払い養育費の支払義務(債務)も法定相続分に応じて承継します。

この場合、子どもが持つ債権と子どもが承継した債務は、法的に「混同」によって消滅します(民法第520条本文)。

その結果、ほかの相続人に請求できる未払い養育費の額は、その分だけ少なくなる(未払い養育費の総額から、子どもが承継した債務分を差し引いた額となる)点にご注意ください。

子どもに発生する「相続権」

今後支払われるはずだった養育費は請求できなくなりますが、その一方で、あなたの子どもは元配偶者の相続人となります。

子どもは法定相続人

離婚によって元夫婦の関係は終了していますが、あなたと元配偶者との間に生まれた子どもは、法律上の「子」であることに何ら変わりありません。

もちろん、親権がどちらにあっても同様です。

したがって、あなたのお子さんは、亡くなった元配偶者の財産を相続する「法定相続人」となります。

法定相続分はどれくらいか?

相続人が誰かによって、受け取れる割合(法定相続分)が変わります。

  1. 相続人が「子ども」だけの場合 (元配偶者が再婚しておらず、他に子どももいない場合)
    財産のすべてを、あなたのお子さん(お子さんが複数いれば頭割り)が相続します。
  2. 相続人が「配偶者(再婚相手)」と「子ども」の場合
    配偶者が1/2、あなたのお子さんが1/2です。(お子さんが複数いれば、その1/2をさらに頭割り)

元配偶者の「親」や「兄弟姉妹」は、「子」がいる限り、相続人にはなりません(相続人である「子」全員が相続放棄すれば、相続人になる可能性はあります)。

元配偶者に借金があったら?

元配偶者の相続財産のうち、プラスの財産よりも借金のようなマイナスの財産のほうが多いと判明したら、子どものために「相続放棄」を検討すべきです。

相続手続きの種類

相続の手続きには「相続の開始を知った時(=通常、元配偶者の死亡を知った時)から原則として3ヶ月以内」という厳格な期限(熟慮期間)があります。

この3ヶ月以内に、以下の3つの選択肢からどれを選ぶかを決断しなければなりません。

  • 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産も、すべてを相続する。
  • 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も、すべてを放棄する(最初から相続人ではなかったことになる)。
  • 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も、すべてを放棄する(最初から相続人ではなかったことになる)。

子どもは未成年だが、誰が手続きする?

相続放棄をすれば、たとえ元配偶者に莫大な借金があっても、あなたのお子さんがそれを引き継ぐことはありません。

もっとも、子どもが未成年(18歳未満)であれば、自ら法的な手続きはできません。

その場合、基本的には親権者であるあなたが、子どもの「法定代理人」として、亡くなった元配偶者の住所を管轄する家庭裁判所において、相続放棄の手続きを行うことになります。

3ヶ月の期限(熟慮期間)を過ぎたら?

何の手続きもしないままこの期間を過ぎてしまうと、原則として「単純承認」した(=すべての財産と借金を相続した)とみなされてしまいます。

あとから莫大な借金が発覚しても、原則として相続放棄は認められません。

そのため、感情的な整理は難しくとも、元配偶者が死亡した事実を知ったら、すみやかに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

「遺産分割協議」への参加

プラスの財産のほうが多く、相続放棄をしない場合、ほかの相続人(元配偶者の再婚相手など)と「遺産分割協議(相続財産の分け方についての話合い)」を行う必要があります。

(なお、プラスの財産のほうが多くても相続放棄は可能です。相続人同士の争いを回避したいという理由で、相続放棄が選択されることもあります。)

しかし、未成年である子どもに代わって親権者であるあなたが、そのまま協議に参加することができない場合があります。

親権者が子どもの代理人として遺産分割協議に参加することは、親権者と子どもの利益が対立する「利益相反行為」(民法第826条)にあたる可能性があるからです。

(親権者自身は相続人ではないが、子どもが受け取るべき相続財産の額について、ほかの相続人との間で子の利益に反する合意をするリスクが考えられるため)

このようなケースでは、親権者であるあなたが家庭裁判所に対し、子どもの代理人として遺産分割協議を行う「特別代理人」の選任を申し立てる必要があります。

その場合、選任された特別代理人(弁護士などが選ばれることが多い)が、子どもの利益を守るために協議に参加します。

相続放棄をしない場合は、こうした複雑な手続きが必要なこともあるため、一度は弁護士に相談しておくのが賢明でしょう。

まとめ

元配偶者が死亡すると、「将来の養育費」という継続的な収入源は失われてしまう、という厳しい現実があります。

一方で、「相続」によって、まとまった財産(あるいは借金)を承継する権利・義務が子どもに生じます。

感情的な整理がつかないなかでの法的手続きは大変ですが、一人で抱え込まず、まずは相続に詳しい弁護士に相談し、お子さんの権利と未来を守るための行動を開始してください。

アディーレ法律事務所神戸支店 弁護士 神野由貴
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