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- 1. はじめに
- 2. PTAは強制を加入されるものではない
- 2.1. (1)PTAは「権利能力なき社団」という任意団体
- 2.2. (2)憲法は「結社の自由」を保障している
- 2.3. (3)入会には保護者の「意思表示」が必要
- 2.4. (4)一度加入しても退会は自由
- 3. 裁判例:PTAは「入退会自由な任意加入団体」と判断
- 4. PTAに加入するメリット
- 4.1. (1)他の保護者や先生と知り合える
- 4.2. (2)子どもたちの活動を近くで見ることができる
- 4.3. (3)ボランティア活動をするという経験が得られる
- 5. まとめ:PTAは任意加入で入退会は自由! 入会してよかったという声も
- 6. アディーレ法律事務所
- 6.1. 全国拠点一覧
- 7. 無料法律相談
- 7.1. お受け出来る分野
- 8. 日本シングルマザー支援協会より
はじめに
「PTAに絶対入らなきゃダメ?」「仕事と育児で役員なんてとてもできない…」
子どもの入学準備だけでも大変なのに、PTA加入後の様々なタスクを考えると、本当に悩ましいですよね。
最近はニュースでも取り上げられている通り、PTAは「任意団体」であり、加入も退会もあなたの自由です。法律上加入を強制されるものではありません。
PTAは強制を加入されるものではない
保護者が、PTAへ加入する法的義務はありません。
いまだ、事実上「自動加入」「強制加入」と同視できるような学校も多いようです。
しかし、PTAに加入するか否かは、保護者が選択することができ、加入を強制する法律上の根拠はないのです。 まずはPTAがどんな組織なのか、法的な立ち位置を正しく理解しましょう。
(1)PTAは「権利能力なき社団」という任意団体
PTA(Parent-Teacher Association)は、保護者と教職員が参加するボランティア団体で、法的には「権利能力なき社団」という任意団体に位置付けられると考えられています。
私法上、権利と義務の主体となることができる資格のことを、「権利能力」といいます。
人間(自然人)は、原則として出生によって権利能力の主体となります。
人間以外では、株式会社などの法人は、法律で認められた権利能力を有します。 PTAにはそのような権利能力はありませんが、学校の活動を支援するために保護者と先生が集まって作った、任意団体なのです。
(2)憲法は「結社の自由」を保障している
私たちは、日本国憲法によって「結社の自由」という基本的な人権を保障されています 。これは、団体を作ることや、望まない団体に入らないことを自由に決められる権利のことです。
つまり、PTAという団体を希望者が集まって作るのも自由ですが、一方で、希望しない人に加入を強制はできない、というのが憲法上の原則です。この自由を制限するためには、少なくとも法律の根拠が必要ですが、「PTAに加入を強制する」という法律上の規定はありません。
したがって、あなたの意思に反してPTAへの参加を強制できる根拠は、ありません。
(3)入会には保護者の「意思表示」が必要
PTAは任意加入の団体ですので、入学と同時に、保護者の意思確認なく自動的にPTA会員となる「自動加入制」をとることはできません。
任意団体であるPTAに入会するには、基本的に、保護者が「入会します」という意思表示をすることが必要になります。
この点、適切に運営しているPTAであれば、保護者に対して、入学後なんらかの機会で、PTAは任意加入団体であることを説明したうえで、「加入申込書」などの申込書面を配布することになるでしょう。
しかし、PTAによっては、任意加入団体であることを事前に説明しなかったり、加入を当然の前提とした会費納入依頼を全員に配布したりするため、「加入の義務がある」と誤解して加入する保護者もいるようです。
なお、入会申し込みは、明示の意思表示には限られず、「黙示の意思表示」も含まれます。 例えば、入会申込書を提出していない場合でも、PTA会費を支払う、PTAの役員として仕事を担当するなどの行動があると、「黙示的に加入の意思表示をした」とされる可能性があります。
(4)一度加入しても退会は自由
「一度入ったら辞められない」ということはありません。
もし、PTA執行部から「前例がないから退会できません」「子どもが学校に通う限り退会できません」などと言われたとしても、それは法的に間違いです。
PTAは任意団体なので、活動に賛同できなくなった場合は、いつでも退会する自由があります。
裁判例:PTAは「入退会自由な任意加入団体」と判断
PTAに関して、有名な訴訟がいくつかあります。
そのうちの一つである、熊本の裁判例(平成28年2月25日熊本地方裁判所判決)を紹介します。
これは、ある児童の保護者が、同意していないのに強制加入させられて会費を支払わされたとして、当該PTAに対して、納入した会費の返還などを求めた裁判です。
入会申込書の提出はなかったものの、PTAの会費納入袋にて会費を支払っていたことなどを考慮して、黙示的な入会の合意があったとして、会費の返還は認めませんでした。
しかし、裁判所は前提として、当該PTAが「入退会自由の任意加入団体である」と認定しています。
PTAに加入するメリット
「平日に時間を取られる」「役員は集まりが多いらしい」など、PTAの大変な部分が大きくクローズアップされがちで、心配になるのは当然です。
しかし、 PTAはその学校に通う全ての児童を支援するという、社会的意義のある活動を行っています。
「加入してよかった」という声も多くありますので、一度加入してみて、賛同できなかったら退会するという道もあります。
(1)他の保護者や先生と知り合える
PTAの活動をする中で、自然と他の保護者と知り合えることができます。
学校生活の情報や、不明点などを気楽にやり取りできる知人・友人が増えることは、メリットと言えるでしょう。
また、PTA活動をしなければ、保護者が担任の教師が話をできるのは、通常年に数回程度(家庭訪問や保護者会など)と考えられます。もちろん、別途相談したい事柄がある場合には、連絡をして機会を設けてもらうことは可能でしょうが、なかなか連絡はしにくいものです。
PTA活動をしていれば、学校を訪れた際など、自然と教師とコミュニケーションを取る機会が増えるのではないでしょうか。
(2)子どもたちの活動を近くで見ることができる
学校という組織の中で、子どもが成長する姿を見られる期間は思っているよりも短いものです。
子どもを支援するPTA活動に関わる中で、成長する姿を間近で見られるのは、PTAが提供してくれる貴重な機会ともいえるでしょう。
(3)ボランティア活動をするという経験が得られる
PTA活動は、学校に所属する全ての子どもを支援するボランティア団体です。
その活動は、子どもの福祉・子どもの幸せにつながることであり、やりがいがあることは事実でしょう。
加入してみて、「何かおかしい」「ここを変えた方がいい」と感じることがあるかもしれませんが、話し合った上で修正・変更し、よりよい活動に繋がった、活動してみてよかった、という話もよく聞きます。
仲間と行事を執り行うこと、子どものためになることを行うことは貴重な経験になることでしょう。
まとめ:PTAは任意加入で入退会は自由!
入会してよかったという声も
いかがでしたでしょうか。
地域や学校により、「入会申込書がなく保護者は入会を前提として話が進む」など、強制加入団体と誤解されやすい扱いがなされているケースもまだ多くあるようです。
しかし、PTAは任意加入団体であり、入退会は自由です。
加入したくない場合には、その旨を伝えるとよいでしょう。
入会して活動してみてから、趣旨に賛同できないから退会するという方法もあります。
役員になれない事情がある場合には、PTAによっては免除されるケースもありますので、1人で悩まずPTA執行部に相談してみるとよいでしょう。
参考:PTAをめぐる諸問題の法的検討|法学新法第130巻第7・8号(2024)
参考:公益社団法人日本PTA全国協議会
アディーレ法律事務所神戸支店 弁護士 川原朋子
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