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目次

はじめに

「ハウスクリーニング代で敷金が全部なくなった」「逆に高額な追加費用を請求された」など、退去時には大切なお金である敷金を巡ってトラブルになることが少なくありません。

特に、新しい住まいや生活の準備で忙しいシングルマザーの皆さんにとって、こうした金銭的なトラブルは避けたいものですよね。

ここでは、不安をなくしてスムーズに退去できるよう、知っておくべき「敷金」と「原状回復義務」について、弁護士が分かりやすく解説します!

「敷金」ってどんなお金?

そもそも「敷金」という制度自体をよく知らないという方もいるかもしれません。
「礼金との区別が曖昧」などの疑問を持つ方も多いでしょう。

敷金は、賃貸契約において借主が大家さんへ預ける担保金であり、退去時のトラブルを避けるためにその仕組みを理解しておくことが非常に重要です。

(1)敷金とは、もしもの時のために入居時に預ける「保険」のようなお金

敷金とは、あなたが賃貸物件に入居する際に、大家さん(貸主)に一時的に預けておくお金です。

これは、万が一家賃を払い忘れてしまった場合や、お子さまとの生活の中でうっかりつけてしまった傷や汚れを直す費用など、将来発生するかもしれない費用のための担保として預けられます。

(2)基本は返ってくる!退去時に必要な費用を差し引いた「残り」が戻る

敷金は、あなたが部屋を明け渡して賃貸契約が終わった時点で、原則としてあなたに返されるお金です。

ただし、まだ払っていない家賃や、あなたの責任で直す必要のある費用(「原状回復費用」といいます)がある場合には、敷金からそれらの費用が差し引かれた残りの金額があなたに返されることになります。

(3)なぜ敷金は退去時にトラブルになりやすいの?

敷金を巡ってトラブルが起きやすい一番の理由は、借りた人(借主)と大家さんの間で、「どこまで部屋を元に戻す必要があるか(原状回復義務の範囲)」に認識のズレが生じるからです。

「原状回復って、具体的にどこまでやればいいの?」という疑問を解消することが、将来のトラブルを防ぐ第一歩になります。

賃貸住宅は退去時にどこまで元に戻す必要がある?
「原状回復義務」の範囲

賃貸住宅を退去する際には、部屋を「入居した当時の状態」に戻す義務(原状回復義務)があります。

しかし、完全に「入居した当時の状態(元の状態)」に戻す必要はありません。

ここでは、退去時にどこまで部屋を戻す必要があるのか(原状回復義務の範囲)について、大事なポイントを分かりやすく見ていきましょう。

(1)「わざと」または「不注意」でつけたダメージのみ負担が原則

原状回復義務で借りた人(借主)が負担するのは、あなたがわざとつけたキズや汚れ(故意)や、うっかり不注意でつけてしまった傷(過失)の範囲だけです。

退去時にあなたがわざとつけたキズや汚れ(故意)や、うっかり不注意でつけてしまった傷(過失)がある場合には、その修繕費用を支払う必要があります。

大家さん負担になる主な例(あなたが負担しなくていいもの)

普通に生活していてできた傷や汚れ(通常損耗)

  • テレビや冷蔵庫を置いていた後部壁面の黒ずみ
  • ポスターやカレンダーを掲示するための画鋲・ピンの穴
  • 家具を置いたことによる床やカーペットのへこみ など

時間の経過による劣化(経年変化)

  • 古くなったことによる設備の故障
  • 時間が経って生じた畳の変色やフローリングの色落ち など

借りた人(借主)負担になる主な例(あなたが負担する必要があるもの)

  • 引っ越し作業で生じたひっかきキズ
  • タバコによるヤニや匂い
  • ペットによる匂いやキズ
  • お子さまによる落書きやシール跡 など

(2)知っておくべき!あなたの味方になる「原状回復ガイドライン」

退去時のトラブルが増えている現状を踏まえて、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を公表しています。

このガイドラインそのものに法的な強制力はありませんが、実務上、「退去時にどこまで部屋を戻す必要があるのか(原状回復の範囲)」を決める重要な基準となっています。

もし大家さんから退去時に不当な請求をされたと感じたら、「このガイドラインに照らすと、その請求は不当ではないか」と反論するための根拠になります。心のよりどころとして、その存在を覚えておきましょう。

(3)長く住むほど負担は減る!経過年数と原状回復義務の関係

壁や床の一部分に不注意で傷をつけてしまった場合でも、部屋全体の張替え費用まで負担する必要はありません。経過年数を考慮した上で、最低限必要な範囲の修繕費用の負担というのが原則です。

例えば、壁紙には耐用年数(一般的に6年)が設定されており、もし退去時点でその年数を経過していた場合、その壁紙の価値はほとんどゼロと計算されます。

この場合、あなたがもし不注意に破損させてしまったとしても、原則として修繕費用の負担割合は大きく減らされることになります。

長く住んでいる以上、壁が汚れたり、キズついたりすることは仕方がないということです。

(4)契約書にある「クリーニング特約」などがある場合には注意が必要!

入居時に交わした賃貸借契約に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」といった特約がある場合があります。

この場合には、わざとまたは不注意でつけたキズがあるかどうかにかかわらず、退去時に特約で定められた費用を支払う必要があります(敷金から差し引かれます)。

ただし、すべての特約が有効というわけではありません。
特約があなたに一方的に不利になっていないか、次のポイントが守られているかをチェックしましょう。

守られていない場合には、これらの特約が無効となる場合もありますので「おかしいな?」と思ったら確認しましょう。

  1. あなたが負担すべき内容・範囲が明確に示されているか
  2. 本来大家さんが負担となるところをあなたが負担させられることが事前に説明されているか
  3. 通常損耗の具体的範囲が説明されているか
  4. 費用として妥当な金額か など

退去トラブルを防ぎたい!今からできる3つのこと

退去時に起こりうるトラブルは、事前にしっかり備えておくことでほとんど防ぐことができるといえます。ここでは、忙しい合間にぜひやっておきたいトラブル予防の3つのポイントを紹介します。

(1)入居時には隅々までスマホで写真を撮っておこう

退去時のトラブルを防ぐために一番大事なのは、入居時に住宅の写真を撮って記録しておくことです。

入居前からあったキズや汚れは、あなたが直す必要のないものです。
入居時に入居する前からあった傷や汚れの写真を撮っておくことで、退去時に「(元からあった傷について)修繕費用を払ってください」と請求されても、証拠をもって反論することができるようになります。

写真を撮る際は、日付が記録されるように設定しましょう。水回りや壁の隅など、傷がつきやすい箇所を特に詳しく記録しておくことをおすすめします。

(2)大切な契約書の内容を改めてチェックしておこう

退去時のトラブルを防ぐためには、入居時に交わした賃貸契約書を改めてチェックすることも大切です。

賃貸借契約書には、「誰がどこを直すか(修繕負担)」「あなたがどこまで負担するか」「原状回復工事のだいたいの費用」「敷金等の精算に関する事項」などが記載されています。

忙しくても事前に確認しておくことで、「退去時にどれくらいお金が必要となるのか」を心の準備として確認することができます。

(3)届いた精算書の見積もりをすぐに鵜呑みにせず確認しよう

退去後に大家さんから「敷金精算書」が届いたら、すぐに支払いに応じるのではなく、請求内容を隅々まで確認することが大切です。

  • 請求されている項目が、本来大家さんが負担すべき普通に生活していてできた傷や汚れ、または時間の経過による劣化ではないか?
  • 修繕費用に経過年数による価値の減少が適用されているか?

また、修繕費用が「一式」などと曖昧に書かれている場合、「どの箇所をいくらで修繕したのか」という具体的な内訳を確認するようにしましょう。

納得できない請求には、毅然と異議を唱えることが大切です。

実際にトラブルになったら、どこに相談すべき?

実際に退去時にトラブルになり、大家さんとの話し合いで解決しなかった場合には、行政や弁護士などに相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。

一人で悩まず、専門家に頼りましょう。

(1)お住まいの自治体の相談窓口や消費生活センターなど

退去時に関するトラブルについては、お住まいの地方公共団体の相談窓口や消費生活センターなどで無料相談を受け付けている場合があります。

中立的な立場からトラブル解決に向けた情報の提供やアドバイスなどを行ってくれます。
必要に応じて専門機関への紹介も行ってくれますので、まずはこちらに相談してみるのがおすすめです。

(2)弁護士

大家さんとの交渉が難航してしまった場合には、弁護士に相談するのも心強い選択肢です。

弁護士に相談・依頼することで、トラブル解決に向けたアドバイスが受けられるのはもちろんのこと、あなたの代理人として大家さんとの交渉も代わりに行ってくれます。

まとめ

退去時のトラブルを防ぐカギは、「敷金」と「原状回復義務」について正しい知識を持つことです。

そして、「入居時の記録」「契約書の再確認」「精算書のチェック」という3つのアクションを実行すれば、新しい生活への移行をより安心して進められるでしょう。

新しいスタートに向けて、トラブルなく、スムーズな退去ができるよう応援しています!

アディーレ法律事務所神戸支店 弁護士 相原彩香
https://www.official.adire.jp/profile/aihara_ayaka/

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