コラム:離婚を決意したらしておくべきこと

日本シングルマザー支援協会が全国組織なので、弁護士事務所として唯一の全国組織であるアディーレさんとの提携となりました。また、協会が中立な立場となるので、伝えにくいことや、聞きにくいことは協会を通してもらえればとも思います。協会は上手に活用してください。

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■離婚したい、だけでは離婚できない?

離婚の理由が何であれ、夫婦間で協議をして離婚に合意すれば、離婚届を提出するだけで離婚は成立します(協議離婚)。離婚全体のうち、9割弱がこの協議離婚により離婚しているようです。
もっとも、相手が離婚に応じてくれないこともありますよね。このときは最終的には裁判による離婚を目指すのですが、法律で定められた離婚できる理由(法定離婚事由、法定離婚原因)があることが、離婚を認めてもらうためにはマストです。
法定離婚事由として、民法では次の5つを定めています。

  • 不貞行為:配偶者以外の異性と自由意思で性的関係を持つこと
  • 悪意の遺棄:理由もなく同居しない、生活費を全く渡さないなど夫婦間の同居義務、協力義務、扶助義務を果
    たさない
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある:上記以外の様々な理由

しかし、法定離婚事由があっても、自分がその離婚事由を作った側(有責配偶者)だと、離婚請求は認められないのが原則です。例外的に、

  1. 夫婦の別居が、夫婦の年齢や同居期間との対比で相当の期間に及んでいる
  2. 夫婦間に未成熟の子供がいない
  3. 相手の配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状況に置かれるなど、離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がない

という場合は、離婚が認められることがあります。

まずは、自分は本当に離婚をしたいのか、離婚すべきなのか、落ち着いて考える必要がります。離婚は相当なストレスを感じる方が多くいますし、様々な手続も伴ってきます。離婚を切り出してみたものの、気持ちが揺らいで離婚をやめるケースもありますが、一度切り出してしまった離婚話のせいでしこりが残ってしまうことも…。
自問自答してみましょう、あなたの離婚の決意は変わりませんか?

 

■離婚の準備

離婚後の生活について事前にリサーチする

じっくり考えて離婚の決意が固まっても、離婚を切り出すのはまだ待ってください。感情的に離婚を切り出したくなったり、家を出たくなることもあると思います。もちろん、離婚や別居で相手の生活の面倒を見る必要もなくなりますし、精神的にも体力的にも楽になる面もありますが、これまでとはがらっと変わる環境の中で、自立した生活を送れなければいけません。離婚後に後悔しないよう、離婚後の生活をリサーチし、具体的にシミュレーションすることも大切です。
例えば、離婚後にどこに住むつもりでいますか?引っ越し費用や新居の入居費用の金額はいくらか、家賃等は払えるのか、勤務先への通勤は可能か、子供が通学しやすいか…リアルな生活シミュレーションをしてみましょう。
ちなみに、養育費が毎月必ず入ってくる前提での試算はやめた方が賢明です。養育費は滞納が起こりがちで、相手に請求してすぐに入ってくるとは限りません。不慮の出費が発生することもありますので、無理のないシミュレーションをしましょう。

また、子育てと仕事を一人で抱えて両立させるのもそう簡単ではありませんよね。私の場合、あっという間に一日が過ぎますし、子供に無理や寂しい思いをさせることを辛く感じる日もありますが、子供の笑顔に支えられながら、毎日を子供と笑顔で過ごしたいと思っています。一緒にいない間子供が過ごす場所はどうするのか、病気等不慮の事態が起きたときに仕事の調整は可能か、近くに頼れる人・場所・施設・サービス等はあるのか…予め想定すべき内容はご家族の状況によりますが、自分も子供もハッピーに過ごせる環境作りも大切だと思います。

しかしながら、DV被害のように、心身等に重大な影響を及ぼすため、早急に相談、別居、離婚が肝要なケースもあります。DV夫と直接離婚協議をするのは難しいですし、離婚を切り出すと逆上したり、DVがエスカレートすることもあります。別居するときは、別居先を相手に知られないようにする必要もありますし、早めの相談が肝要です。

DVに遭っていたら、何かあってからでは遅いので、緊急事態はためらわずに警察に連絡を。また、弁護士等の専門家のほか、各地の配偶者暴力相談支援センターでは相談・一時保護・自立支援等を行っています。その他、民間シェルターや福祉事務所による生活支援など様々な支援があります。最寄りの相談機関窓口に電話が自動転送されるDV相談ナビ(0570-0-55210)もありますので、覚えておきましょう。

お金のこと

そして、別居・離婚に伴い、離婚の条件で問題となりがちなのもお金です。離婚には先立つものが必須ですし、損をしないよう制度を知っておくことはマストです。

財産分与

財産分与には、○ア結婚中に夫婦で築いた財産を精算する精算的財産分与、○イ離婚後の生活を補助する扶養的財産分与、○ウ慰謝料的財産分与があります。
この財産分与の対象となるのが、夫婦の共有財産、すなわち、名義にかかわらず、実質的に夫婦の協力により形成・維持されてきた財産で、プラスマイナスを問いません。
例えば、結婚後購入した不動産、自動車、家財道具、預貯金、有価証券、保険の解約返戻金、年金・退職金、生活費のための借金や住宅ローンなどが共有財産にあたり、離婚時には、これらを原則2分の1ずつ分けることになります。
ただし、夫婦が築き上げた財産ではなく、結婚前から持っていた財産や結婚後に贈与・相続で取得した財産(特有財産)は、財産分与の対象とはなりません。
なお、財産分与の時効は離婚から2年ですので、離婚後に請求する場合は注意しましょう。

慰謝料

離婚=慰謝料というイメージが強いですが、慰謝料は必ず発生するとは限りません。不倫、DVなど離婚の原因を作った側の配偶者(有責配偶者)に対しては慰謝料請求できますが、実際の離婚の理由として最も多いとされる、性格の不一致や価値観の違いの場合、一方だけに離婚の責任があるわけではないため慰謝料は発生しません。
また、受けた精神的なダメージが大きかったとしても、裁判所で認められる慰謝料の金額は、ケースバイケースではあるものの、一般的には決して高くはなく、100万円〜300万円程度が多いとされます。

婚姻費用

夫婦は、結婚中はお互いの収入に応じて家族の生活費を分担する義務があるので、別居中に夫から生活費夫から貰っていないときは、婚姻費用分担請求ができます。養育費と同様、具体的な金額はお互いの収入、子供の年齢や人数によりますが、裁判所では、婚姻費用算定表(東京家裁HP http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)を利用して算 出されるのが一般的です。
そして、裁判等で金額が決まっていない場合、定期給付債権として過去5年分までしか請求を認めないという裁判例もありますので、注意しましょう。

養育費

養育費は子供の養育に必要な費用です。自分で子供を育てているかどうかにかかわらず、親は収入に応じて養育費を分担する義務があります。
具体的な養育費の金額は、現状、裁判所では養育費算定表(東京家裁HP http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)に基づいて算出されるのが一般的です。お互いの収入、子供の人数・年齢によって金額が変わってきますので、源泉徴収票や確定申告書を見て夫婦それぞれの収入を算出し、請求できる養育費の金額がどのくらいか確認してみましょう。
こちらを使うと簡単に計算ができます。
https://www.adire-rikon.jp/calculator/youiku.html アディーレ養育費診断 )

また、厚生労働省の調査(では、「現在も養育費を受けている」人は全体の24%程度にとどまっており、半数以上の人が「養育費を受けたことがない」と回答しています。実際、取り決めの有無にかかわらず、養育費の未払いに関するご相談はたくさんあります。養育費をもらうのは、親ではなく子供の権利ですから、離婚後子供を引き取るときは、しっかり取り決めをしなければいけません。

 

■不倫・DVなどは証拠を残そう

裁判では、離婚請求する側が、法定離婚事由があることを主張立証しなければいけません。つまり、相手の不倫やDVを理由に離婚や慰謝料を請求する場合、不倫やDVを証拠で証明しなくてはいけません。
例えば、不倫の証拠としては、不倫相手との性的関係があった事を示す、メール・SNS、写真や動画、録音、領収書、探偵等の調査報告書、第三者の証言などが用いられることがあります。
DVであれば、ケガの写真、診断書、証言、日記・記録等、壊れた物の写真・修理見積書等、第三者の証言などが考えられます。
スマホやPC画面で確認したもの、原本の入手が難しい証拠の場合、それを写真撮影しておきましょう。また、どのようなことがあったか、備忘録を残しておきましょう。
ただ、これ以外にも様々なものが証拠になり得ますし、他の証拠との兼ね合いや証拠の内容次第で、有利な証拠になるかも変わりますので、ケースバイケースの判断が必要です。証拠集めは同居中の方がしやすい面もあります。手持ちの証拠で証明できるのか、どのような証拠を集めたほうがよいのかなど、別居の前に専門家への相談をおすすめします。

 

■まとめ

離婚問題で感情的になってしまうのはとてもよくわかります。でも、感情や衝動に任せて行動してしまうと、結果的にマイナスになってしまうこともたくさんあります。法律を知り、正しい知識を得ることは、私たちにとって強力な武器にもなります。みなさんご自身と大切なお子さんのため、よりよい形で新たな人生のスタートを切れるよう、これから様々な情報をお届けしていきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/

 

日本シングルマザー支援協会より

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