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■ 養育費を受け取っている人は2割!?

シングルマザー世帯の生活費の実情、皆さんはご存じでしょうか。

厚労省の調査(『平成 28 年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要』)では、平均年間就労収入は200万円とされ、預貯金は50万円未満との最も回答が多く、経済的に厳しい状況が浮き彫りになりました。このような中で気になるのが「養育費」。

養育費の取り決めのある方は42.9%(平成23年調査では37.7%)、養育費を現在ももらっている方は24.3%しかいないとの結果が出ています。

勘違いしがちですが、養育費は親の権利ではなく子どもの権利です。DV等の特別な事情が無い限り、離婚時にきちんと養育費の取り決めをすることは非常に重要です。

 

離婚時に約束した養育費が振り込まれない

経済的に苦しくなり養育費をもらいたくなった、養育費が約束通り支払われないなど、離婚後に養育費に関して悩む方は非常に多いです。

そもそも、離婚しても、父母には各自の経済力に応じて未成熟子を扶養する義務がありますから、離婚時の取り決めの有無にかかわらず養育費を請求できます。

取り決めがなく、話し合いで解決しないときは、家庭裁判所の調停、審判で決めることになります。しかし、裁判所では、養育費の取り決めがない場合、原則として、調停申立てをしたときなど養育費請求の意思が明確になった時点以後の養育費しか認めてもらないことが多いのです。過去分の請求が認められるケースもありますが、全額だと莫大な金額になる等の理由から、一部に限定されることもあります。

取り決めがある場合でも、取り決めの方法により請求・回収方法が違います。

後ほど詳しく説明しますが、離婚条件を公正証書にしている(強制執行認諾文言がある)、養育費につき定めた裁判所の調停調書・審判書・和解調書・判決書などがある場合は、強制執行(父親の給料の差押え等)により直接回収できます。

しかし、これらの債務名義にはあたらない書面での合意や口頭での約束しかないときは、まずは調停をしなければなりません。

ですから、養育費の権利を最大限守るためには、離婚時に、強制執行ができる形で養育費の取り決めをすることが非常に重要なのです。

ただ、養育費も時効にかかってしまいます。裁判所を利用して養育費が決められた場合(調停調書・審判書・和解調書・判決書による)は、約定の支払日から10年間、裁判所を利用しない合意(公正証書、離婚協議書など)では5年を経過すると時効にかかってしまうのでご注意下さい。

なお、皆さんが再婚されて、子どもと再婚相手が養子縁組をしたときは、子ども一次的な扶養者は再婚相手、実の父親は二次的な扶養者になり、再婚相手に十分な収入があるときは実の父親への養育費請求は認められないことがあります。

 

強制的に払わせることは可能?

先に少し述べましたが、養育費の取り決め通りに払ってもらえない場合は、強制執行で給与の差押え等をすることができることがあります。

法律上、強制執行をするには債務名義が必要とされており、具体的には、確定判決や確定判決と同一の効力があるもの(調停調書・審判書・和解調書など)、執行証書(強制執行認諾文言がある公正証書)などにより、養育費の支払いが具体的に定められていなければ強制執行はできません。ですから、自分たちで作った単なる書面では強制執行はできないため、債務名義をとるためにまずは調停から起こさなければなりません。

取り決めをしても将来的に払われなくなることが多々あるのが養育費です。裁判所を利用しない協議離婚の場合でも、強制執行できる形で養育費を含めた離婚条件を離婚公正証書にすることをおすすめします。

公正証書は離婚後でも作ることはできますが、なかなか相手との協議が簡単にはまとまらないことも。相手との話し合いが難しいときは、調停申立てをし裁判所を介して協議しましょう。調停や審判で養育費が決まった場合、調停調書や審判書が作られますので、これを債務名義として強制執行することができますよ。

 

まとめ

養育費の取り決めをしていない理由第1位は「相手と関わりたくない」(34.1%)であり、皆さんも関わりたくないと思われているかもしれません。また、相手からしても、子どもとの別居が長くなると子どもへの愛情が薄れ、養育費を払いたくないと思ってしまう方もいるようです。さらに相手に再婚や子どもが増えたといった事情あると、もらえる養育費に影響するため、話は複雑になってきます。

相手との交渉を任せられるだけではなく、それぞれのご事情によって金額等も大きく異なる上、一度合意した養育費の増額請求は簡単には認められませんので、専門的知識も重要になってきます。養育費の約束をしていない方、約束通り払ってもらえない方、増額請求をしたい方・相手から養育費減額請求をされた方など、養育費でお悩みの方は、お子さんの権利を最大限守るために、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/

 

日本シングルマザー支援協会より

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