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■モラハラ(モラルハラスメント)とは?
昨今様々なハラスメントが話題になっていますが、「モラハラ」もハラスメントの一つで、正式名称をモラルハラスメントといいます。
モラハラを規定した法令はありませんが、一般的にはモラルに反するハラスメント、倫理や道徳に反する精神的な嫌がらせの意味で使われることが多く、モラハラを夫婦関係悪化の要因として挙げられる方も増えています。
モラハラは家族、仕事、友人、恋愛、ご近所など、人と関わるあらゆる場面で起こりがちなトラブルの一つですが、夫婦間のモラハラには、例えば、
- 気に入らないとキレる、無視する
- 「こんなことも分からないとは本当にバカだな。だからお前はダメなんだ」など暴言を吐く、人格を否定する
- 気に入らないことが起きると責任転嫁する(自分を正当化し、非を認めない)
- 異常な束縛
- マイルールの押しつけ
などがあります。
平成30年度司法統計によると、離婚原因ランキングは
1位 性格の不一致
2位 生活費を渡さない
3位 精神的に虐待する(モラハラ)
とされ、モラハラで離婚を考える方がとても多いことが分かります。
■モラハラを理由に離婚できるの?
このようなモラハラや精神的な虐待を理由とする離婚請求は、法定離婚原因「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして、裁判所でも認められる場合があります(夫が離婚に合意して離婚届を提出する協議離婚をするのなら、問題なく離婚が成立します)。
(⇒関連記事:性格の不一致を理由に、離婚できるの?)
モラハラは精神的な攻撃ですので、心へのダメージは大きいものの、証拠が残りにくい特徴があります。
証拠に基づいた証明を求められる裁判で離婚を認めてもらうためには、意識的に証拠を集めることがとても大切です。
さもないと、夫が離婚に応じない、モラハラの事実を認めない場合(今離婚に応じていても、途中で翻意したり態度を変えることはよくあるので楽観視はNGです)、証拠不十分で離婚を認めてもらえない可能性も十分に考えられます。
特にモラハラ夫は、協議離婚に応じないことや外面が良いことも多く、夫の裁判所に対する言動からはモラハラの実態が伝わらないこともありえます。
モラハラの具体的な内容が分かるよう、できる限りたくさんの証拠を集めておきましょう。
例えば、メールやSNSなどはそのまま保存しておく、相手とのやりとりを録音・録画して保存する、出来事や感じたことなどを都度詳しくメモや日記にまとめる、精神科の診断書や通院履歴、相談等をした第三者の証言なども証拠になります。
裁判で使えるかどうかは後で判断すればいいですので、まずはどんなものでも集めて、証拠を残しておきましょう。
また、裁判所が離婚を認めるかどうかは、モラハラの内容や程度のみならず、ご夫婦・ご家族の個別具体的な事情によって判断が変わります。
集めた証拠をもとに、離婚が認められそうかなど弁護士にご相談されることをおすすめします。証拠集めが分からない・不安という方も、通常は同居中の方が証拠を集めやすいですから、別居決行前にご相談ください。
■慰謝料について
夫のモラハラがある程度ひどいときは、夫に対して慰謝料を請求することができます。
モラハラの程度や証拠の有無などにもよりますが、一般的には、慰謝料は50万円~300万円程度といわれています。
特に、モラハラの期間が長く回数が多い、モラハラの程度がひどい、こちらに非がない、モラハラが原因でうつ病等に罹患した、モラハラ夫が社会的地位・経済力があるといった場合、慰謝料が高額になる可能性があります。
どれだけひどいモラハラに耐えてきても、証拠がないために慰謝料が認められなかったり、低額にとどまってしまうこともありますので、ここでもしっかりした証拠集めが大切です。
一方、結婚生活の中では、妻から夫に対する言動がひどくなってしまうこともありえます。
結果的に離婚の責任は双方にあるとか、こちらにあるとされると慰謝料が発生しなかったり、逆に夫に慰謝料を払わなければいけなくなる可能性もあります。
モラハラ夫への感情的な対応は事態を悪化させるだけでなく、結果的に自分が損してしまうかもしれないことを心にとどめ、冷静な対応を心がけましょう。
■親権について
モラハラ離婚を考えながらも、離婚を踏みとどまってきたのは、子どもと暮らせなくなるかもしれないからという方もいらっしゃることでしょう。
子どもの親権は、「子どもの福祉」という視点から決められますので、離婚に伴い、子どもの親権者を父母どちらにするか決めますが、母親だから親権がもらえる、モラハラ夫だから親権者になれない、というものではありません。
次のようなことを総合的に考慮し、あくまで「子どもの利益」「子どもの福祉」の観点、つまりどちらを親権者にした方が子どもの心身の健全な成長ができるか、子どもが幸せになれるかという視点から親権者が決められます。
〇親側の事情
監護能力、精神的・経済的な家庭環境、生活環境、愛情の度合い、これまでの監護状況など
〇子ども側の事情
年齢、性別、兄弟姉妹、発育状況、環境への適応状況、子どもの意向など
親権争いになった場合、上記について通常は家庭裁判所調査官が必要な調査を行いますが、これが裁判官の親権者判断にはとても大きな影響力を及ぼします。
例えば、これまで子どもの面倒を見ていたのは誰かの調査では、赤ちゃんのときにおむつやミルクは誰があげていたか、朝子どもを起こすのは誰か、食事は誰が作っていたか、着替えは誰がしていたか、送り迎えは誰かなど、とても細かい点まで調査されます。
一般的には、母親が主に子どもの面倒を見ることが多く、別居後母親と暮らしていて、特段問題ないとして母親が親権者として指定されることが多いといえます。
しかし、夫婦間でのみモラハラがされ、程度がひどくない場合など、「モラハラがあった=子どもの福祉に反する」とは必ずしもいえないケースもあり、これまで夫が主に子どもの世話をしてきて、そのまま父親のもとで暮らした方が子どものために良いという場合など、夫が親権者とされることもあります(子どもへのモラハラがあった場合、家庭裁判所の調査官は虐待の有無等を調査します)。
夫へは様々な感情があり、親権を渡したくない、子どもと離れたくないと思うのは、自然な感情だと思います。
しかし、夫への感情と親権者の問題はわけて考えるべきであり、子どものためにはどうするべきか冷静に考えることも重要です。
■まとめ
私は、離婚して新たな生活を歩き始めるには、精神的・金銭的な自立がマストだと述べてきました。
損をしないよう、あらかじめ弁護士にも相談し、法的な知識を身につけ、損をせず、証拠集めや慰謝料請求など法的に使える武器を身につけてから行動してほしいと思います。
他方、夫の心ない言動に本当は傷ついていても、それを表に出さず、一生懸命無理してこられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子どものために我慢することもありますが、モラハラはそれを見てきた子どももモラハラ傾向を示すなど、将来的に影響を与える危険性も指摘されており、離婚も子どもを守る一つの方法だと思います。
離婚後、精神的に自立し子どもと笑顔で暮らすには、何よりもお母さんの心の安定が第一です。
良きタイミングで別居をしたり、一人で悩まず信頼できる心のよりどころを見つけ、助けてと言える環境を作り、問題を一人で抱え込まないようにしてくださいね。
アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/
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日本シングルマザー支援協会より
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