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はじめに
2020年9月21日から30日まで、交通事故防止の徹底を図ることを目的に「秋の全国交通安全運動」が実施され、最終日の9月30日は「交通事故死ゼロを目指す日」でした。
警察庁の発表によれば、令和元年の交通事故発生件数は38万1237件で、一日当たり平均1000件を超える交通事故が発生している計算になります。
もし、ご自身やあなたのお子さんが交通事故に遭ってしまった場合、どのような対応が必要なのでしょうか。
交通事故の発生状況
交通事故といえば、自動車乗車中の事故をイメージする方が多いのではないでしょうか。
実際に、警察庁の発表によれば、令和元年中の事故のうち、自動車乗車中の死傷者数が最も多いです。
しかし、バイクや自転車乗用中、歩行中の事故による死傷者数も少ないとはいえません。
また、死者数に限っていえば、歩行中の事故でお亡くなりになった方の人数は、自動車乗用中の事故でお亡くなりになった方の人数を上回っています。
日常の様々なシーンで交通事故は起こり得ます。
ご自身やお子さんの身を守るためにも、日ごろから交通ルールを守り、事故に遭わないように気を付けることが第一です。
とはいえ、事故はいつどこで起こるかわかりません。
万が一、事故に遭ってしまった場合の対応について、加害者と被害者、それぞれの立場から見ていきましょう。
人身事故と物損事故の違いとは?
そもそも交通事故は、大きく「人身事故」と「物損事故」の2つに分類されます。
人身事故とは、事故によってケガをした、後遺障害が残ったなど、身体に損害を負った場合の事故を指します。
一方で、物損事故とは、身体への損害は生じなかったが、自動車が壊れた、電柱や壁を傷つけたなど、物に損害が生じた場合の事故を指します。
ところで、人身事故扱いにすると加害者が刑事処分を受けるおそれがあるなどの理由から、事故によりケガをしているにもかかわらず、物損事故として処理されている案件を見かけます。
物損事故では実況見分調書等が作成されないため、事故状況の立証が困難になるなど、後になって不都合が生じる場合があります。
特に被害者の立場からは、物損事故にしておくメリットはないため、事故によりケガをしたのであれば人身事故として扱ってもらいましょう。
なお、いったん物損事故として届け出た後に、ケガをしていたことに気づいた場合などには、人身事故への切り替えが可能です。
事故から時間が経つと人身事故へ切り替えてもらえないケースもあるので、なるべく早めに手続を行いましょう。
事故の加害者である場合
万が一、あなたが交通事故の加害者になってしまった場合はどうすべきでしょうか。
事故を起こした直後は動揺してしまうかもしれませんが、できるだけ落ち着いて行動することを意識しましょう。
- 事故発生後は直ちに運転を停止し、人や物の被害を確認しましょう。
負傷者がいれば、救急車を呼ぶなど、負傷者の救護活動をしましょう。 - 二次災害が発生しないように、車を安全な場所へ移動させるなど、安全の確保をしましょう。
発煙筒、三角表示板などで、事故の発生を周囲に知らせましょう。 - 警察へ事故発生日時、事故発生状況等を報告しましょう。
- ご自身の加入している保険会社へ事故について報告をしましょう。
なお、事故発生直後は上記の1~3を最優先すべきですが、目撃者がいれば「証言を確保しておく」、ご自身の車のドライブレコーダーに事故当時の映像が残っていれば「消去せずに保存しておく」など、証拠の確保も忘れずに。
被害者の方への誠意ある対応は必要ですが、その場でお金を支払うことは避けましょう。
事故の被害者である場合
では一方で、あなたが交通事故の被害者となってしまった場合はどうすべきでしょうか。
まずは、安全の確保が第一です。安全の確保ができたら、警察へただちに連絡をしましょう。
ケガをした場合には、遠慮せずに医師の診断を受けてください。
また、加害者の氏名や加害車両のナンバー、加害者加入の保険会社名などの情報を収集しましょう。
目撃者の証言や映像の保存といった証拠の確保は、加害者の場合と同様に重要です。
近年は、弁護士費用特約が付帯されている保険も多くあり、金銭面の心配をせずに、示談交渉等を弁護士に依頼できるケースも増えています。
相手方から提示された賠償金額等に疑問がある場合には、示談をする前に弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
たとえば、「普段通る場所で危険な場所はどこか」や、「危険な時間帯はいつか」などの情報をお子さんと共有する、特に小さなお子さんと歩いて外出する際には「手をつなぐ」、「自分のそばから離れないように気を付ける」など、交通事故を防ぐためにできることはたくさんあると思います。
例年、秋から年末にかけては、交通事故が多発する傾向にあります。
少しでも交通事故が減りますように。このコラムが、交通安全について考える契機となれば幸いです。
アディーレ法律事務所 弁護士 二里木弓子
https://www.adire.jp/profile/niriki_yumiko/
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