コラム:コロナ禍で騒音苦情が増加!?住まいに関するトラブルにはどう対処する?

日本シングルマザー支援協会が全国組織なので、弁護士事務所として数少ない全国規模で展開している アディーレさんとの提携となりました。また、協会が中立な立場となるので、伝えにくいことや、聞きにくいことは協会を通してもらえればとも思います。協会は上手に活用してください。

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はじめに

新型コロナの影響により、家のなかで過ごす時間が以前よりも増え、在宅環境を見つめ直す機会が多くなりました。

ライフスタイルの変化とともに、私たちが家に求める条件も変わり、より充実した住環境を希望する方が増えたそうです。

この春引っ越した方は、コロナ禍以前よりも、物件選びやインテリアなどに頭を悩ませたかもしれませんね。

しかし、「心身ともに健康に過ごしたい!」と望む一方で、引っ越し業者や大家さん、近隣住民との揉めごとなど、家にまつわるトラブルは身近なものです。

今回は、そんな日常的に起こりうる問題について解説します。

新型コロナウイルスによる、住環境への影響と変化

この1年あまり、新型コロナ拡大の影響から、学校の臨時休校、在宅勤務の増加、外出自粛要請などでおうち時間が長くなるなか、騒音を始めとする近隣トラブルが相次いでいます。

NHKが実施した警視庁への取材によれば、初めて緊急事態宣言が発令された昨年4月の東京都では、110番通報は10万7,483件と、前年同時期に比べて31%も減少したにもかかわらず、騒音に関する通報は38%増加し、過去5年間でもっとも多い1万7,000件にも上ったそうです。

特に、多くのシングルマザー家庭では失業や減収の影響を受け、家賃や光熱費などの支払いができなくなってしまう方もいらっしゃるなど、継続的な支援が必要な状況にあります。

住まいに関するトラブル、どう対処する?

「引っ越し作業中に家具を傷つけられた」、「退去時に大家さんと敷金のことで揉めてしまった」、「隣の人の生活音がうるさくて眠れない」など、住まいに関するトラブルはたくさんありますが、今回は、引っ越し業者、大家さん(貸主)、近隣住民とのトラブルについてそれぞれ考えてみます

引っ越し業者とのトラブル

荷物が壊れた・なくなった

引っ越し作業中に荷物の破損や紛失があった場合、原則として引っ越し業者から損害を賠償してもらえます。

というのも、引っ越しの契約条件は、各業者が定める「引越運送約款」によりますが、多くの業者は国土交通省による「標準引越運送約款」を使用しています。

この標準約款では、荷物の受取り(荷造り含む)から引渡し(開梱含む)までの間に、業者の責任で破損や紛失が起きたら、原則として補償することになっていますが、引渡しから3ヵ月以内に依頼者が通知をしなければいけません。

引っ越し当日は慌ただしく、荷物の確認が遅れてしまうものですが、後日に破損や紛失を見つけて業者に連絡をしても、「引っ越しのあとに生じた破損や紛失で、業者には責任がない」と言われてしまう可能性もあります。

可能な限り、引っ越し当日に確認して業者に伝えるとともに、状況を写真撮影するなど、証拠を残しておきましょう。

見積額と請求額が違う

「標準引越運送約款」では、業者は見積りをして見積書を交付し、引っ越しの3日前までに内容の変更の有無を確認することになっており、変更がない限りは請求書も同様の内容で作成するよう決められています。

もし、見積りより高額な金額を請求されてしまったらどうするべきでしょうか。

「申告より荷物の量が増えた」、「荷造りが終わらず手伝ってもらった、待ってもらった」、「引っ越し先の通路が予定より狭く、搬入にクレーンが必要になった」など、依頼者の責任で追加料金が必要になったのであれば、見積額より高額でも請求額を支払う必要があります。

一方で、見積書に記載がなく、費用追加の理由もない請求なら、支払う必要はありません。

トラブル防止のためにも見積書、約款、契約書は必ず内容を理解してから契約をし、見積額と請求額が違う理由を確認しましょう。

訪問見積りを利用するなど、業者と実際の状況を共有し、どこまでが契約内容に含まれているのか、どんな場合に追加料金が発生してしまうのかを確認・相談することも大切です。

また、「相場より安すぎる」、「契約していないのに手付などの金銭を要求する」、「勝手に資材を置いていく」、「強引に契約させようとする」、「見積書の内容が曖昧」、「保険や補償がない」など不審な言動がある場合は、悪徳業者の可能性もありますので十分注意しましょう。

大家さん(貸主)とのトラブル

家賃を支払えなくなってしまった

賃貸物件に住んでいる場合、大家さんとの間で賃貸借契約を締結しています。

そして、契約に基づき、借主は定められた支払い日までに賃料(家賃)を支払わなければいけませんから、家賃の滞納は契約違反になります。

しかし、裁判所は、家賃滞納に加え、滞納期間、滞納金額、滞納に至った経緯、家賃の支払い状況、催告の有無などさまざまな事情を考慮し、大家さんと借主との間の“信頼関係が破壊された”といえるようなひどい場合に限って、賃貸借契約を解除できるとしています(信頼関係破壊の法理)。

明確な基準はないですが、一般的には3ヵ月以上滞納すると信頼関係が破壊されたと認められやすくなる傾向があります。

この判断では、借主の対応も考慮要素になります。家賃の支払いが遅れてしまうときは、すぐに大家さんに連絡し、支払う意思があるときちんと示し、誠実に対応することがとても大切です。

なお、契約書に、「1ヵ月以上の家賃滞納があると催告がなくても解除ができる(無催告解除)」という条項がある場合でも、1ヵ月の滞納では契約解除は認められず、催告しなくても不合理とは認められないような事情がある場合でなければ、無催告解除は認められません。

昨今の新型コロナの影響で失業したり、給料が減ってしまったりと、生活が苦しく家賃が払えないこともあるかもしれません。

親族等からの借入のほか、状況に応じて住宅確保給付金、生活福祉資金貸付制度、生活保護などの公的制度が利用できる場合があるので、公的機関にも相談してみましょう。

敷金を返してもらえない

物件を借りる際に敷金を差し入れることも多いですが、そもそも敷金とは、契約してから部屋を明け渡すまでの間に発生する損害を担保するために、大家さんに預けるお金です(民法第622条の2)。

たとえば、退去後の原状回復費用や滞納家賃があればそこに充当され、残ったお金は契約が終了し、退去したあとに返還されます。

敷金の返還で問題になりがちなのは、原状回復費用です。

そもそも借主は、借りてからできた部屋の損傷を回復しなければいけませんが(原状回復)、これは入居前の状態に完全に戻すという意味ではありません。

法律上、通常の使用および収益によって生じた賃貸物件の損耗(通常損耗)や経年劣化は、原状回復の対象外とされています(民法621条)。

したがって、借主が原状回復費用を負担しなければならないのは、借主の管理が不適切で発生・拡大したものや、通常ではない使用法により発生したものです。

これに対し、通常の住まい・使い方をしていても発生するものや次の入居者のために行うグレードアップ作業は原状回復には含まれないので、費用は大家さん負担です。

【原状回復が必要な場合(借主が負担するもの)】

  • 手入れ不足で生じた液体をこぼしたことによるシミ・カビ
  • 壁への落書き
  • たばこのヤニ・におい
  • 台所の油汚れ
  • 鍵の破損や紛失による交換 など

【原状回復が必要ない場合(大家さんが負担するもの)】

  • 家具の設置による床・カーペットのへこみ
  • テレビ・冷蔵庫等の電気ヤケ
  • 日照等によるクロスの変色
  • 鍵の取り替え(破損・紛失ではない) など

原状回復の内容について、詳細は国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」をご確認ください。

【参考】「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」

上述したガイドラインにもチェックリストがついていますが、入居時・退去時には、管理会社または大家さんの立ち会いのもと、物件の状況をしっかりと確認し、もともとの損傷や損傷を指摘された箇所は写真を撮るなどして、証拠を残しておきましょう。

そのほか、普段からこまめに掃除を行うことや、退去時には原状回復の内容と費用の明細を確認することも重要です。

近隣住民とのトラブル

騒音が気になる

社会生活を営むにあたって、音を立ててしまうのはお互いさまですし、ある音を不快に思うかは人それぞれに異なります。

そのため、ある音が違法な騒音といえるかどうかの判断には、“一般社会生活上当然に受忍すべき、我慢すべき限度を超えた音に限って違法とする”という考え方(受忍限度論)が用いられています。

受忍限度を超える騒音被害を受けたときは、損害賠償請求や騒音の差し止め請求をすることができます。

そして、生活音の規制についての全国統一の基準はありません。

参考として、環境省が騒音の環境基準を定めており、住宅地の昼間の騒音は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下とされているほか、各自治体の条例などにより騒音規制が設けられている場合もあります。

では、身の回りにある音は、一体どれくらいの数値なのでしょうか。

  • 家庭用洗濯機 約64~72デシベル
  • 家庭用掃除機 約60~76デシベル
  • テレビ 約57~72デシベル
  • 子どもの駆け足 約50~66デシベル
  • 人の話し声(日常)約50~61デシベル
  • 人の話し声(大声)約88~99デシベル
  • 図書館 40デシベル

など、日頃耳にするさまざまな音は、意外と大きな数値だとわかります。

裁判では、「どんな種類の音がどの程度鳴るのか」、「どのような損害があるのか」、「地域環境やこれまでの経過はどうか」、「騒音対策がされてきたのか」など、あらゆる事情を考慮して、受忍限度を超えているかどうかのケースバイケースの判断をしており、環境基準を超えたからといってただちに違法とはなりません。

騒音トラブルにあったときは、継続的に音の記録を残しておくことがとても大切です。

さらに、建物の構造等で音の伝わり方も違いますし、相手に悪意がない場合もあります。

近隣との関係を悪化させることは望ましくないので、感情的にならず、理解を求めるように話をしましょう。

管理組合や管理会社、自治会など、中立な第三者を通じて伝えてもらうのもよいですし、改善されないときには弁護士や警察へ相談するという手もあります。

普段から近隣の方と意思疎通がしやすい良好な関係を築いておくことも大切です。

(関連記事⇒自分や子どもの行動がきっかけで、事故・トラブルを起こしてしまったら)

敷地内に無断駐車をされている

無断駐車は土地所有者の所有権を侵害する違法行為なので、その自動車の所有者に対し、自動車を撤去して土地を明け渡すよう請求することと、土地を使用できなかったことに対する損害賠償請求ができます。

では、車の所有者が車を撤去してくれない場合、勝手にレッカー移動するなどの処分をしてしまってもよいのでしょうか?

正解は「×」。日本の制度上、裁判などの公的な手続を踏まずに自力で権利を実現する「自力救済」は、原則として認められていません。

そのため、車を撤去してもらえないときは、裁判をして「車をどかして土地を明け渡しなさい」という判決をもらい、強制執行によって車を処分することになります。たとえ無断駐車であっても、勝手に処分してしまうと、「車の持ち主の権利を害した」としてこちらが損害賠償をしなければならなくなったり、器物損壊罪などの犯罪に問われたりする可能性があります。

とはいえ、弁護士名での通知や裁判所から訴状が届くと、驚いた相手から何かしら連絡がきたり、対応してもらえたりすることもあります。

トラブルが早期に解決できる場合もありますので、お困りのときは弁護士にご相談ください。

隣家の樹木がはみ出ている

さらに、不動産トラブルでよくあるのが、境界をめぐるトラブルです。たとえば、隣家の植えている木の根や枝が境界を越えてきた場合、勝手に切って処分してしまってもよいのでしょうか。

隣家から境界を越えてきたのが「木の根」であれば、根を切り取ることができます(民法第233条)。

ただ、「勝手に切られた」と相手が感じて、遺恨を招く可能性もありますし、隣家とはよい関係を築いてくことが自分のためにもベターですから、一言断ってから対応するほうが無難かと思います。

これに対し、越境した「木の枝」は勝手に切ることはできず、隣家に枝を切るよう請求ができます。

枝を無断で切ってしまうと、相手の所有権を侵害する不法行為となってしまい、損害賠償義務を負ってしまうので、注意が必要です。

まとめ

ご近所同士の間で起こったトラブルは、「事を荒立てたくないから」と、誰にも相談せずに黙って我慢しようとする方もいらっしゃるかと思います。

そんなときは、一人で悩まず、第三者や専門家に介入してもらいながら解決を図るのも一つの方法であり、むしろそのほうがよいケースもあります。

たとえば、近隣住民とのトラブルは管理会社や管理組合、自治会に、引っ越し業者とのトラブルは国民生活センターなどの公的機関に相談することができます。近隣トラブルは心理的な負担も大きくなってしまうものです。

悪質な事案や、近隣トラブルが原因でいやがらせを受けるなどした場合には、警察のほか、弁護士にもお気軽にご相談くださいね。

アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/

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日本シングルマザー支援協会より

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