日本シングルマザー支援協会が全国組織なので、弁護士事務所として数少ない全国規模で展開している アディーレさんとの提携となりました。また、協会が中立な立場となるので、伝えにくいことや、聞きにくいことは協会を通してもらえればとも思います。協会は上手に活用してください。

メルマガ内で「法律コラム」をいち早くお届け。当会員の皆さまへ必要な情報を提供して頂きます。

はじめに

明けましておめでとうございます。私の子どものころのお正月の楽しみといえば、やはりお年玉でした。最近では、キャッシュレスのお年玉も登場しているそうですね。我が家はもらったお年玉はすべて親に預けるルールだったので、お金持ち気分を味わえるのも一瞬で、自由にお年玉を使える友人をうらやましく思っていたことを覚えています。みなさんのなかにも、お子さんのお年玉を預かった経験のある方は珍しくはないと思います。お年玉は、「子どもが自由に使える」、「親が預かって子どもの口座に預金したり、生活費にあてたりする」など、使い方も管理方法もご家庭によってさまざまですが、そもそも、子どもがもらったお年玉は法的には誰のものなのでしょうか。

お年玉は誰のもの?

お年玉は、法的には贈与となり、たとえ0歳の赤ちゃんであろうと、もらった子ども本人のものです。

そうはいっても、すべて子どもの自由に使わせなければいけないのならば、親の立場からすると無駄遣いが心配なのも正直なところ。子どもがある程度の年齢になるまでは「お年玉は親に預けるべき」という意見も多いですよね。

では、子どものものであるお年玉を親が管理することは、法律的に許されるのでしょうか。

親は子どもの財産を管理する権利がある

法律上、親は、親権を持つ未成年の子どもの財産を管理する権利があります(民法824条)。

つまり、子どもの財産であるお年玉を、親が預かって管理することは法的にも認められているのです。また、子どもが「お年玉を全額おやつに使いたい」、「ゲームを買いたい」などと自分の希望をいうこともあるでしょうが、全額預かって1円も使わせなくても違法ではありません。なお、財産管理権を含む親権は、子どもが成人するまでの間しか行使できません(成人は現在は20歳ですが、今年の4月1日から18歳に変更されます)。成人後の財産管理権は子ども自身にありますので、どうするかはお子さんと話し合っていただければと思います。

子どもの教育や、生活費に使ってもOK?

法律が認めているのは、親が子どもの財産を責任を持って「管理」することであり、勝手に「使う」ことは認めていません。ですから、親のための遊興費や旅費、飲食費、私物の購入などに使ってしまうと親権(財産管理権)の濫用とされ、許されません。

では、子どものための生活費や教育費など、親のためではなく、子ども本人を育てるための費用として使うのであればよいのでしょうか。

これは、原則としては許されないと考えられます。なぜなら、親は未成熟の子どもを扶養する義務を負っていますから、子どもの食費、被服費、教育費など、子どもを育てるために必要なお金は親が負担すべきもので、子どもが負担すべきものではないからです。しかし、生活が厳しく、子どものお年玉を学費や生活費に使ったという話も聞きます。ご家庭の状況や使途によっては、お年玉を崩して子どもの養育費に補填することも、財産管理権の濫用とはされない場合もあるでしょう。

お年玉による事例は見当たらないようですが、お年玉に限らず財産管理が不適当だと管理権がはく奪されてしまう場合もありますし(民法835条)、何より親子の信頼関係が崩れてしまいかねないので、対応には気をつけたいですね。

関連記事⇒お子さんと一緒に考えてほしい、飼い主の法的責任とは?

もしもすでに、お年玉を使い込んでしまったら…

親がお年玉を勝手に使うのは財産管理権の濫用で許されないと述べましたが、もし勝手に使い込んでしまったらどのような責任を負うのでしょうか。

 自分(親)が管理している他人(子ども)の物(お年玉)を自分の好きに使ってしまったことになるので、形式的には横領罪(刑法252条)に該当します。法定刑は5年以下の懲役とされていますが、親子間で起きた横領罪は刑が免除されますので(親族相盗例、刑法255・244条)、現実には処罰されることはありません。

 しかし、民事では話は別です。このような使い込みは不法行為(民法709条)となるので、使い込んだお金に相当する額を子どもに賠償しなければなりません。

まとめ:お年玉は、もちろん子どものもの

私自身、子どもを持つ母親ですが、子どもが少し大きくなり、目の前にある今すごく欲しい(が数日後には飽きているであろう)ものを「買って!」と全力でアピールしてくることが増えました。「正直泣きたいのはこっちだよ…」と思いつつも、我慢の練習中の子どもと戦う日々を送るなかで、お金やものの大切さを理解して欲しいと感じるようになり、今年は、初めてお年玉を通してお金について話す時間を設けてみました。

子どもを尊重することも大切ですが、子どもの判断能力はまだまだ未熟ですから、年齢や性格などに応じて、必要な範囲で適切に管理してあげたいですね。とはいえ、お金との付き合い方にはいろいろな考え方があり、何が正解かわからずに悩みは尽きません。お年玉も、将来子どもがお金と上手に付き合いながら人生を切り開いていくための糧となるといいですね。

アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/

関連動画

#34 保存版!!離婚の教科書①
#35 保存版!!離婚の教科書②
#36 保存版!!離婚の教科書③

日本シングルマザー支援協会より

アディーレ法律事務所の弁護士先生の専門家のコラムです。ぜひ知識を増やしてくださいね。知っていると得することはたくさんあります。
働くことも同じです。知識を増やして、知っていることを増やして得してくださいね。

メルマガ内で「法律コラム」をいち早くお届け。当会員の皆さまへ必要な情報を提供して頂きます。