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はじめに

毎日仕事に家事に育児に、本当にお疲れ様です。
忙しい日々のなかで、ママ友とのLINEグループでのやり取りや、SNSでの情報収集・発信が「毎日のちょっとした息抜き」になっている方も多いのではないでしょうか。

しかしその一方で、「ほんの軽い愚痴のつもりだったのに、深刻なトラブルになってしまった」というケースがあとを絶ちません。

実は、スマホを通じた何気ない「ここだけの話」や「噂話」が、気づかないうちに法律上の「名誉毀損」や「プライバシー侵害」というアウトなラインを踏み越えているケースも多いのです。

「えっ、あれもダメだったの?」とあとから青ざめることがないように。
今回は弁護士の視点から、日常に潜むSNSやLINEトラブルについて法的な観点から解説します。

「本当のこと」でも罪になる?名誉毀損の基本

誰かについての噂話を耳にしたとき、「嘘を言いふらすのはダメだけど、本当のことなら言ってもいいよね?」と思っていませんか?

実はこれ、法律上は大きな勘違いなんです。

「事実であれば罪にならない」というのは、多くの方が勘違いしてしまいやすい誤解です。

刑法で定められている「名誉毀損罪」は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立します。

少し難しい言葉ですが、要するに「大勢の人が知ることになり得る状況で、具体的なエピソード(事実)を挙げて、その人の世間的な評判を下げること」を指します。

ここで一番知っておいていただきたいポイントは、「その内容が真実であっても罪になり得る」ということです。

たとえ100%本当のこと(たとえば「あの人、過去に破産しているらしいよ」「不倫しているんだって」など)であっても、相手の社会的評価を下げるような事実を広めてしまえば、名誉毀損にあたる可能性があるのです。(※ただし、政治家の不正を告発するなど、公共の利益に関わるような場合で、かつその内容が「真実である」と証明できるといったケースに限り、特殊な例外として名誉毀損罪が成立しないこともあります)。

また、「バカ」「最低な母親」といった、具体的なエピソードを伴わない単なる悪口の場合はどうでしょうか。この場合は、名誉毀損ではなく「侮辱罪」という別の罪に問われる可能性があります。

いずれにしても、「文字にして発信する」ことには、私たちが想像している以上の法的な重みがあるということを、まずは基本のルールとして押さえておきましょう。

弁護士がジャッジ!これってアウト?セーフ?

ここからは、私たちの日常で「つい、やってしまいがち」な3つのシチュエーションを見ていきましょう。法律のフィルターを通すと、どのようにジャッジされるのでしょうか。

【ケース1】「ここだけの話ね」とLINEグループで噂話を流した

  • 状況
    仲良しのママ友数人のLINEグループで、「ここだけの話だけど、〇〇さんの旦那さん、不倫してるらしいよ」と書き込んだ。
  • ジャッジ
    アウトの可能性大(名誉毀損罪)
  • 解説
    「LINEのグループという限られた空間だから、誰でも見られるわけじゃないしセーフでしょ?」と思うかもしれません。
    しかし、法律には「伝播可能性」という考え方があります。
    最初は少人数への発信であっても、そこから噂が人づてに広まり、結果的に「不特定多数の人が知る状態」になる可能性があれば、名誉毀損罪が成立し得るのです。
    「ここだけの話」は、他人に伝わってしまった瞬間にコントロールできなくなると心に留めておいたほうが良いでしょう。

【ケース2】他人の子どもが写り込んだ写真をSNSに無断アップした

  • 状況
    公園や保育園の行事で撮った写真を、InstagramなどのSNSに投稿。自分の子どものお友達の顔もハッキリ写っているが、スタンプなどで隠さずに公開した。
  • ジャッジ
    アウトの可能性大(肖像権やプライバシー権の侵害)
  • 解説
    誰にでも「自分の顔や姿を無断で公表されない権利(肖像権)」があります。
    特に子どもの場合、悪意のある第三者に画像を利用されたり、制服や背景から生活圏を特定されたりする危険性が大きいと考えられます。
    「仲良しだから」「みんなやってるから」という理由で他人の子どもを無断でSNSなどに公開するのはNGです。
    SNSにアップする際は、必ず許可を取るか、顔がわからないよう加工するといった配慮が必要です。
    なお、肖像権やプライバシー権の侵害は、名誉毀損罪のような「犯罪(刑事罰)」には直結しないことが多いものの、民法上の不法行為として慰謝料などの損害賠償を請求されるリスクがあります。

【ケース3】裏アカウントで「実名を出さずに」個人の愚痴を書いた

  • 状況
    匿名でやっているX(旧Twitter)のアカウントで、「うちの子と同じクラスの子のママ、いつもブランド物持ってるけど絶対パパ活してるでしょ」と書き込んだ。
  • ジャッジ
    アウトの可能性大(名誉毀損罪)
  • 解説
    「実名を出していないから、誰のことかわからないし訴えられない」というのは大きな間違いです。
    法的には、実名が書かれていなくても、前後の投稿内容や人間関係などから「あ、これは〇〇さんのことだな」と周囲の人が特定できる状態であれば、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
    匿名の裏アカウントであっても、基本的に法的責任から逃れることはできません。

トラブルを防ぐ・巻き込まれた際の対処法

では、加害者にも被害者にもならず、安全にSNSやLINEを利用するにはどうすればよいのでしょうか。
いざという時のアクションプランをお伝えします。

加害者にならないための「送信前のセルフチェック」

スマホの画面に向かっていると、つい気が大きくなったり、閉鎖的な空間だと錯覚してしまったりしがちです。

送信ボタンや投稿ボタンを押す前に一度でも、「もし、自分のアカウントが『実名』や『顔写真入り』だったとしても、このボタンを押せるかな?」と想像してみてください。

少しでも「それは無理」と感じたら、その文章は削除するのが賢明です。一時的な感情に任せた発信は、百害あって一利なしと心得ましょう。

被害者になってしまったら?鉄則は「証拠保全」

もし、あなたが根も葉もない噂を流されたり、誹謗中傷のターゲットになってしまったりした場合。

怒りや悲しみから、本人に直接LINEやDMなどで抗議したくなると思います。

しかし、そこはグッと堪えてください。直接連絡をすると、相手が保身のために投稿を消してしまい、あとから法的な対処をしたくても「証拠がない」と泣き寝入りする事態になりかねません。

まずは冷静に「スクリーンショット(画面保存)」を撮りましょう。投稿の内容だけでなく、相手のアカウント名、URL、投稿された日時がはっきりわかるように保存しておくことが、あなたを守る武器になることがあります。

一人で抱え込まず、専門機関へ相談を

確かな証拠を手元に確保したら、決して一人で抱え込まないでください。

お近くの弁護士に相談するのはもちろんですが、ハードルが高いと感じる場合は、法務省が開設している「インターネット人権相談受付窓口」など、無料で相談できる公的な窓口を活用してもよいでしょう。

参考:インターネット人権相談受付窓口へようこそ!|法務省

まとめ

SNSやLINEは、家事に育児に仕事にと、日々奮闘しているママたちにとって、孤独を和らげ、有益な情報を得て、お互いを励まし合える素晴らしいツールです。
だからこそ、使い方を間違えて誰かを傷つけてしまうのはとても悲しいことです。

今回お伝えした法律知識をいつも心の片隅に置いていただき、これからも安心してネットでのコミュニケーションを楽しんでくださいね。

※本記事は2026年4月時点の法令に基づき執筆されています。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。

アディーレ法律事務所神戸支店 弁護士 神野由貴
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