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ひとり親家庭への影響

新型コロナウイルスの影響で、仕事が減らされた・解雇になったなどの方も多いのではないでしょうか。

緊急事態宣言が明けた今も、収入が減り、生活費を切り詰めたり、預金を切り崩したりするなど、生活が厳しくなったご家庭が増えています。

前回はコロナに伴う労働問題についてご紹介しましたが、今回は金銭問題の解決法をご説明します。

 

借金問題の解決法について

最初に、借金に関する解決方法についてご紹介しましょう。

コロナの生活への影響は甚大です。

不安だと思いますが、落ち着いて、まずは利用できる公的支援、公的給付の利用を検討してみましょう。

  • 新型コロナの影響を受け生活に困窮している場合:社会福祉協議会による貸付(緊急小口資、総合支援資金)
  • コロナに感染して働けない場合:健康保険等の傷病手当金の受給
  • 公共料金の支払期限の延長
  • 健康保険の傷病手当金の受給
  • 家賃の減免、家賃の給付(住居確保給付金)
  • 生活保護

などさまざまな制度があります。

 

それぞれ要件が異なりますので、自分が利用できるかどうか確認してみてください。

ただし、貸付金はあくまで「借金」です。

今後返済しなければいけないので、安易に借りることはやめましょう。

また、GoToキャンペーンによる助成も検討されているようです。

今後もコロナ関係の助成や給付が続く可能性がありますので、随時チェックをしましょう。

 

コロナで収入が減ってもともとあった借金が返済できなくなってしまった、コロナで生活が苦しく借金をしたが返せなくなってしまったなど、借金に関する解決法は、大きく分けて、任意整理、民事再生、自己破産の3つがあります。

なお、いずれの方法も事故情報、いわゆるブラックリストに載りますので、今後5~7年間新規の借入やローン、クレジットカードの作成が難しくなります。

ただ、それ以外の面では、実際はイメージほどの大きなデメリットはなく、新たなスタートを切れたと前向きにとらえることができる方が多いので、怖がる必要はないと思います。

 

(1)任意整理

任意整理とは、裁判所を介さず、貸金業者と直接話し合って、利息を減らす、もしくは利息を免除してもらうことによって債務額を減額したり、月々の返済を無理のない額に減らしたりする手続きのことです。

弁護士に依頼することで督促をストップすることができますし、任意整理をする業者を自分で選ぶことができます。

さらに、将来利息がカットされたり、利息制限法の範囲内の利息に引き下げて再計算し、元本を返済し終えた計算になったりすると、借金がゼロとなり、払いすぎた利息が過払い金として返ってくる場合があります。

ただし、原則、3年から5年で借金を返済できるだけの資力が必要ですし、民事再生と比較すると返済額が高額になります。

また、貸金業者が応じてくれないケースや、借金が利息制限法の範囲内の利息による取引である、借金をして間もない、まだ返済をしたことがないといった場合は、借金の減額が難しいケースもあります。

なお、警備員や各種士業などの場合、自己破産をすると一定期間仕事ができなくなるという制限がありますが、任意整理であれば仕事に影響はありません。

(2)民事再生(個人再生)

民事再生(個人再生)とは、裁判所に借金の返済が困難だと認めてもらい、大幅な減額を認めてもらい借金を、原則として3年間分割で支払っていく手続きです。法人ではなく、お勤めの方や規模の小さい自営業の方に向いている手続きです。

任意整理と比較すると、大幅に借金が減額になることが一番のメリットです。

また、住宅ローン以外の抵当権がついていないなど一定の条件を満たす方は、住宅ローンの残った自宅不動産を手放さなくて良いというのも大きなメリットです。

破産手続きが認められない理由がある方(免責不許可事由)や破産による資格制限のある職業の方も、自己破産ではなく個人再生にするメリットが大きいといえます。

ただし、返済の負担は楽になりますが、自己破産のように借金がゼロにはなりませんので、安定した収入がない場合は利用できません。

また、提出する書類が多く、手続きも煩雑です。

裁判所に納める費用(弁護士に依頼するときは弁護士費用)もかかります。

加えて、官報に掲載されるので、人にバレる可能性はゼロではありません(ただ、コンビニなどでは売られておらず販売場所も限られていて、普段の生活で目にするものではないので、官報でバレる可能性は一般的にはとても低いと思います)。

(3)自己破産

自己破産は、裁判所に返済できない状況であることを申立て、最終的に免責許可をもらい、借金をゼロにしてもらう手続きです。

借金がゼロになることが一番のメリットで、個人再生と異なり、収入のない方でも利用できる手続きです。

反面、不動産や、20万円以上の資産、99万円を超える現金は手元に残すことができないので、家や車、宝石、生命保険、預貯金などは、思い入れが大きいものがあったとしても没収、換価されて借金の返済に充てられてしまいます(基準は裁判所によって異なる場合があります)。

なお、借金がゼロになるのは破産手続きをした方だけなので、保証人や連帯保証人になっている方がいる場合、その方々が借金の返済を求められることになります。そのため、場合によっては保証人の方も同時に破産が必要なことがあります。

また、資格制限にかかる職業の方は、破産の手続きが終わるまで仕事への影響がありますので、ご注意下さい。

官報に掲載されますが、一般的に気づかれにくいのは個人再生と同じです。
(⇒関連記事:「仕事に影響が出る」という噂は本当?債務整理について正しい知識を得よう

 

養育費トラブルの解決法について

つぎに養育費トラブルについて見てみましょう。

元夫が新型コロナの影響で収入が減少し、養育費が払われない、減額請求がなされるなどの可能性があります。

養育費がちゃんともらえないときは、元夫と話し合ってみましょう。

 

少なくとも、いつから、いつまで(20歳に達した月まで、大学卒業までなど)、月額いくら、毎月何日に、どのように(振込など)払うかを決めましょう。話し合いがまとまったときは、あとでもめないよう合意書などの書類を作成します。

もっとも、単なる合意書などの書面では、不払いがあっても、直ちに差押などの強制執行ができません。

実は、今年4月の法改正で養育費の強制執行がしやすくなりました。
(⇒関連記事:養育費の未払いが解消されるかも?!改正された民事執行法について知ろう!

 

養育費は毎月もらうことがとても意味の大きいお金なので、可能であれば、費用はかかりますが、不払いがあったときには公正証書をもとにすぐに強制執行ができるよう、強制執行認諾文言を記載した公正証書で合意書を作ることをおすすめします。

 

また、あらかじめ決めた養育費の金額の増減額は、予想外の大きな事情変更が無い限り、裁判所は容易には認めません。

一時的な影響にすぎないのであれば減額は認められないことが多いものの、判断はケースバイケースです。

例えば、コロナの社会への影響はいまだ大きく、例えばコロナの影響で会社の業績悪化で倒産し、元夫が失業、再就職がかなり難しいことが見込まれる場合や、元夫が再婚して子どもが増えたあとも以前のとおりの養育費を払い続けてくれていた(養育費算定表より計算上高額となる)が、コロナで収入が厳しいから減額してほしいと申し入れた場合は、裁判所でも減額が認められてしまう可能性があります。

期間を限って一時的に減額をする、調停で決めるなどの手は考えられますが、養育費を減らしてほしいという要望があっても直ちに応じず、まずは専門家にご相談ください。
(⇒関連記事:約束したはずの養育費が振り込まれなかったら

 

住宅ローンについて

最後に住宅ローンの支払いについての対処法をご紹介します。

住宅ローンの支払いが厳しい方、今後厳しくなることが見込まれる方もいらっしゃると思います。

現状、住宅ローンに対する公的給付金はありませんので、自宅を維持したいのであれば、なんとか払っていかざるを得ません。

特に優遇金利制度を利用している場合、延滞すると金利優遇がなくなるのが通常なので、延滞は絶対に避けたいところです。

なお、延滞は信用情報に載りますので、今後の借入にも影響する可能性があります。

また、払わないまま長期間経過すると、競売されてしまい、ローンが残ってしまうこともあります。

 

コロナの影響により、支払いがどうしても厳しいときは、ローンを組んでいる金融機関に相談してみてください。

政府から、コロナの影響での返済猶予、返済期間の延長など、契約の条件変更につき迅速かつ柔軟な対応を行うようお達しが出ています。

ただし、上記のような対応をすべて行ってもどうにもならず、任意売却も難しい場合は、破産等も視野に入れて対応を検討する必要があることもあります。

 

一度延滞をしてしまうと様々な影響が出てしまうので、延滞「前」に相談しましょう。

 

まとめ

コロナの影響は長引いており、不安な日々が続いていますよね。

コロナの影響は生活のさまざまな場面に影響を及ぼしているため、ケースバイケースでの多角的な判断が必要な場面もあります。

まずは、弁護士などの専門家へのご相談をおすすめします。一緒にこの苦難を乗り越えましょう!

 

アディーレ法律事務所 弁護士 正木裕美
https://www.adire.jp/profile/masaki_hiromi/

 

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日本シングルマザー支援協会より

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