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【離婚のための手続きのひとつ、「離婚調停」とは?基本の知識とポイントを徹底解説!/アディーレ法律事務所 池袋本店・弁護士 鈴木 美穂】

はじめに

厚生労働省の統計によると、令和2年の離婚件数(概数)は19万3,251組でした。

一口に「離婚」と言っても、離婚を成立させるための手続きとしては「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」があります。

当事者の話し合いで離婚がまとまる場合には「協議離婚」が選択され、話し合いでまとまらない場合には、まず「調停離婚」が選択されます。

「調停」は、あまりみなさんの生活に馴染みがないので、「調停って何だろう?」「どう進めるのだろう?」と不安になる方も多いかもしれません。

この記事では、なかなかイメージを持ちづらい離婚のための調停(離婚調停)に関する必要な知識やポイントについて解説します。

離婚調停とは

離婚調停とは、離婚の話し合いがまとまらないときに、家庭裁判所の「調停手続き」によって話し合いを進める方法です。

離婚調停で主に争われる内容は、慰謝料・財産分与・親権・養育費などについてで、これらの内容について話し合いをします。

話し合いといっても、当事者が顔を合わせて直接話し合うことはありません。

場所も法廷ではなく、小さな会議室のような一室で行われます。

離婚調停で話し合って合意した内容は、裁判所の判決と同じ法的効力を持つ「調停調書」にまとめられ、当事者は、この合意内容を守る法的義務があります。

(関連記事 ⇒ 3月は“離婚シーズン”!? 後悔したくない!離婚するときにやっておくべきこととは?)

離婚調停の流れ

第1回目の離婚調停までに準備するもの

必要な書類

  1. 夫婦関係調整調書申立書
    ※申立書は相手方にも送付される書類です。相手方に住所を知られたくない場合には、申立人の住所欄に住所を記入せず、裁判所へ住所秘匿の申し出をしましょう。
  2. 申立人の戸籍謄本
  3. 申立人の印鑑
  4. 年金分割のための情報通知書(年金分割を求める場合のみ)
  5. 照会回答書
  6. 事情説明書
  7. その他(陳述書など)

申立先の確認

離婚調停は、基本的には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。

例外的に夫婦間で申立先の家庭裁判所を決めていた場合には、該当する家庭裁判所へ申し立てができます。

離婚調停の費用

離婚調停で負担する費用は、主に以下のとおりです。

  • 収入印紙代(夫婦関係調整調停):1,200円
  • 郵便切手代:800円(申請する家庭裁判所によって多少変わります)
  • 戸籍謄本取得費用(全部事項証明書):450円
  • 住民票取得費用:250円
  • その他(離婚調停で離婚の有無だけを争うのであれば約3,000円程度で済みますが、婚姻費用分担請求や財産分与、慰謝料なども同時に申し立てると、その分の印紙代が別途かかります)
  • 婚姻費用分担請求:1,200円
  • 財産分与請求:1,200円
  • 慰謝料請求:1,200円
  • 養育費請求:1,200円(子供ひとりにつき)

弁護士に離婚調停を依頼する場合には、別途弁護士費用が必要となります。

弁護士費用の相場は約70万~100万円です。

弁護士に依頼するメリットとしては、裁判所へ提出する書面を弁護士が作成するので、離婚の手続きにかかる時間や手間を最小限にすることができます。

また、多様な法的主張を全て網羅し、対応することが可能となります。

申立てから第1回目の離婚調停

離婚調停までの流れ

家庭裁判所に申立書類一式を提出し、申立書が受理されると、家庭裁判所から第1回の調停期日調整の連絡がきます。

家庭裁判所と日程調整を行い、第1回調停期日が決定されます。

調停期日が決定すると、家庭裁判所から夫婦それぞれ宛に期日通知書(呼出状)が届きます。

申立後約2週間で期日通知書が届くのが一般的です。

また調停申立後から第1回の調停まで約1ヵ月くらいです(大都市の場合2ヵ月くらいかかる場合もあります)。

調停期日に持参するもの

  • 期日通知書(呼出状)
  • 印鑑
  • 身分証明証
  • メモ帳
  • 筆記具

待合室で待機

当日、遅刻は厳禁です!余裕をもって自宅を出発しましょう。

家庭裁判所に到着したら、時間まで待合室で待機します。

待合室は、夫婦それぞれ別室が設けられています。

呼び出しの順番

先に調停室へ呼び出されるのは申立人です。

調停室には調停委員2名が待機しています。

調停委員へ離婚調停に至った経緯などをお話ししましょう。

話を終えたら、調停室から退室し、再度待合室で待機します。

次に、相手方が調停室へ呼び出されます。

調停委員が相手方の主張を聞き、申立人が話した内容を相手方へ伝えます。

話し合いを終えると、相手方が待合室へ戻ります。

そして、再度申立人が調停室へ呼ばれます。

そこで相手方の主張が伝えられ、調停員と話し合いをします。

その後、申立人が退室すると相手方が再度調停室に入室し、同様に調停員と話をします。

全体の所要時間は約2~3時間で、夫婦が顔を合わさずに調停が行われます。

裁判所によっては、初回の手続説明時に、夫婦同席での進行を求められることがありますが、どうしても顔を合わせなくない場合には、その旨を調停員へ伝えましょう。

第2回目以降の調停

第1回目の期日から第2回目の期日までの期間

多くの案件は、1回の期日で成立することはありません。

そのため、第1回期日の最後に、第2回目の期日が設定されます。

第2回目は、第1回期日の1ヵ月後くらいとなります。

第3回期日も同様に決められます。

平均すると60%前後が3ヵ月以内、80%前後が6ヵ月以内に、調停成立(離婚となる)・不成立(離婚とならない)・取下げなど、何らかの結論が出ます。

離婚調停が不成立の場合、実務的には離婚訴訟に移行します。

離婚調停が成立した場合

離婚調停が成立した場合には調停調書が作成されます。

調停調書は、裁判所に交付申請をしないと受け取ることができません。

調停成立時に裁判所の書記官へ申し出ましょう。

通常は、交付申請後1週間以内に発行されます。

離婚届の提出期限(調停成立から10日)について余裕をもって交付申請をしましょう。

離婚調停が不成立となった場合

次の場合には、調停は不成立となります。

  • 話し合っても調停の成立の見込みがないと裁判官と調停委員が判断した場合
  • 相手が正当な理由なく出頭しないなど、調停を進行させるのが困難と判断した場合
  • 相手が調整の不成立を調停委員や裁判官に求めた場合
  • 相手が調停中に死亡した場合

などです。

不成立となった場合には、離婚訴訟を提起することが可能です。

(関連記事 ⇒ 離婚してもそのままの苗字を名乗ることはできる?子どもの戸籍は?【YES・NOで必要手続がわかるチャート付き】)

離婚調停で話される内容

離婚調停では、離婚そのものだけでなく、親権や面会交流をどうするか、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料などの財産に関する問題も話し合うことができます。

また、相手が生活費を支払ってくれない場合、婚姻費用の分担調停を申し立てることもできます。

有利に進める方法

調停を有利に進めるためには、個別具体的な状況を踏まえて的確に対応する必要があります。

ケース・バイ・ケースでの対策が必要となるため、全てを網羅することはできませんが、ここでは押さえておくべき重要なポイントをご紹介します。

  • 離婚調停申立書の記載内容を検討する事実に基づき、客観性のある申立書を作成しましょう。
  • 証拠資料を準備する
    離婚原因等の証拠資料を準備することで、調停委員を説得しやすくなります。
  • 調停委員に好印象を与える
    身だしなみはいつも以上に整えましょう。また、調停委員に話が伝わりやすく話しましょう。
  • 弁護士に依頼する
    法律の専門家へ依頼することで、ご自身の主張を正しく伝えることができ、提出書面も弁護士が作成してくれます。弁護士からアドバイスを受けることもでき、調停にも弁護士が一緒に出席してサポートしてくれます。

(関連記事 ⇒ 離婚時の財産分与って、どうやって決めるの?)

まとめ

離婚調停は、一般の方には馴染みのない制度のため、イメージしにくいものでもあります。

離婚調停では、調停委員を介して話し合いを進めることができ、冷静な話し合いが期待できます。

この記事を読んで、調停手続きの流れを簡単に知っておくことで、スムーズな話し合いが可能となるでしょう。

お困りの方は、弁護士への相談をおすすめします。

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